意見交換掲示板過去発言No.0000-200905-49
Re:猫の胸腺型リンパ腫 2 |
投稿日 2009年5月14日(木)10時50分 投稿者 プロキオン
人間の方の腫瘍においても、肺に写っている影が動き出さないでジッとしていてくれるという事が稀にあります。私の先輩にあたる獣医師の場合がそのようなケースでした。20代のときに宣告を受けて定年退職後に数年して亡くなりました。 胸腺型にかぎらず、リンパ腫であれば原発巣はどこ、転移巣は存在するのか、そしてそれはどのくらいの広がりがあるのかということを普通は考えます。 そして、外科的な切除の対象となるのか、化学療法剤の摘要はどのようのものをどの組み合わせでとかに進み、寛解導入がはかれるのかを治療を進めながら考えていくこととなります。 今回のお話では、やはり肺実質に病巣があるということのようであり、しかも全葉に散在しているということであれば、これは手術の摘要はないように考えられます。むしろ、一般的には余命判定をしてもよいケースと受け取ることが出来ます。 この推測が仮に正しいとしたのであれば、12〜3年生きる事もあるという話は、飼い主さんをがっかりさせないために発言されたことと受け止めておく方がよいのではないかと思います。 先に述べまして先輩獣医師のようなケースもたしかにありますが、その方の場合は、腫瘍が動き出さなかったことが幸いしています。肺葉全体に広がってしまっているケースにおいては、その幸いを期待することはむずかしいように思います。 そのような状態であって、化学療法剤を使用しないというのも、余命判定が頭の中で済んでしまっているのであれば、ありえる話ではあります。 本来的には、診断したのであれば、インフォームドコンセントとして、いろいろな選択肢を呈示して、飼い主さんに考えてから選んでいただくというべきなのでしょうが、獣医師にも個々のパーソナリティもありますし、病気に対する考え方もそれぞれです。 一般的なリンパ腫のお話であれば、昨日のメールのように私の見解も主治医の先生と異なりますし、書籍に記載されているものと同じようなものとならざるをえません。 けれども、今回のお話は個人的な推測ではありますが、病状と余命、そして飼い主さんと主治医の性格があってのお話のように思われます。 余談ですが、亡くなった先輩獣医師はお酒も好きで、かなりのヘビースモーカーでした。それでも、自身の病気については覚悟されていたようで、生涯独身を通されました。
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