意見交換掲示板過去発言No.0000-201004-43
Re:猫の遺体解剖をしてくださる獣医さん |
投稿日 2010年4月23日(金)11時36分 投稿者 プロキオン
昨夜のニュースでも八王子で猫の虐待がというような報道がありましたが、大阪でもあるのですね。 さて、文中に「原因追究のための遺体の解剖」とありますが、この意味合いというか、どの程度のことを希望されているのでしょうか? 人間の方でも、死因の究明・行政解剖・司法解剖というようにレベルというか段階がありますが、どのような解剖を意図されているのでしょうか? それによって話はまったく変ってくると思います。 虐待での告発を念頭においてということであれば、私は街の開業医ではなく、警察経由で大学や民間検査機関に依頼した方がよいと思います。実際、私は大学生の頃病理学研究室におりましたので、警察経由での病理解剖の依頼があったのを経験していますし、県で病性鑑定の仕事をしていたときにも同じように検査依頼というのはありました。個人が検査依頼するのよりも ずっと話がはやくとおります。 本来の病理解剖というのには、手順があるのですが、疾病ではないということをまず証明する必要がありますから、細菌やウイルス分離のための検査材料採取が優先されます。その後に手順にしたがって、解剖していくことになりますが、告発が念頭にあるのであれば、通常の手順以外に法医学とも照らし合わせて進めていく必要があります。 解剖所見と病理組織学的所見を揃えて、鑑定書を書く事になりますが、当然その際には細菌やウイルスの検査結果も併せて考察されている必要があります。 また、薬物の使用を想定しているのであれば、通常のこれらの検査以外に やはり早い段階で胃や消化管内容、尿等の採取があって、その分析が必要です。こちらの検査は、広い範囲から徐々に絞り込んでいくというのではなく、臨床症状からある程度のあたりをつけて薬品を検査していくことになりますので、結果が出るまでの時間には相当の幅が出てきます。 このように書いてきますとすでにお気づきかと思いますが、街の臨床医の範囲を超える仕事だと思います。内容そのものが臨床分野と異なって、基礎医学の分野でのこととなります。レベルや段階と最初にお尋ねしたのは、そういうことであり、ただ闇雲に解剖しただけでは、証拠能力やデーターとしての価値が損なわれてしまいます。ただ単に参考意見を聞かせて欲しいというのであれば、病理学的な知識を有する臨床医でもかまわないと思いますが、その先を考えているのであれば、ウイルス検査や細菌検査、そして生化学的な検査をそれぞれの検査機関にまわすことができる先生でないとなりません。 それらの各検査結果を踏まえた上で鑑定書を書くとなると、(それも何頭もの鑑定書となりそうですが)、分野違いの街の開業医よりは、本職さんにまかせた方が良いと思います。データー作りや標本やサンプルの保存というのも重要な仕事となりますので、この点も軽視できません。 当然、費用もそれなり必要となりますので、検査のためのサンプル数というのも、事前にしっかり打ち合わせをしておいていただく必要がありますね。 私の住む県においても 毒を混入した餌が撒かれるという事件がありまして、警察から「不審な死に方をした犬がいたら、警察に連絡をしてくれれば毒物の分析をします」という通知が獣医師会経由で届きました。毒物の分析となると、警察にお願いするのが、一番だと思いました。 原因の追究のために為す事となりますと、中途半端では意味をなしませんし、費用もかなり必要です。虐待を防止したいというのであれば、警察に相談にのっていただいて、公園等のパトロールを強化していただくのも一つの方法かもしれません。
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