獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201006-18

Re:フィラリアの手術。
投稿日 2010年6月10日(木)12時02分 投稿者 プロキオン

フィラリアの手術の是非というのは、以前この掲示板でも議論(獣医師同士で)されましたが、肺動脈栓塞を呈した際の緊急手術という考え方と、多臓器不全に至らないうちこそ手術適期であるという考え方です。
今回のミミさんの犬の場合は、肺動脈栓塞は起きていないようですが、各臓器がどの程度の損傷を受けているかは、わかっていませんので、獣医師各人によっても手術の適応とするかどうかは意見が分かれるかもしれません。

頚静脈からの吊りだし手術となりますと、これは案外田舎の方の先生が経験なさっているかもしれないと考えています。
私は東京で研修を受けましたが、そこでは予防が浸透していましたので、まずフィラリアの犬に遭遇する機会自体がありませんでした。地元に帰ってきてから遭遇することになり、経験のないまま手術せざるをえないことがありました。手技については、私はむずかしいとは思っておりません。手術に至る状況が悪すぎるだけなのです。多臓器不全に至ってしまっているので、手術はうまくいっても必ずしも救命できるという保証がありません。この点こそが、手術に対して積極的になれない先生がいるという理由の最大のものと私は推測しています。
大学病院や高度医療に特化した病院で実施される方が安全ではありますが、経験者ということになりますと、都会である必要もありませんし、若い先生よりは少し経験を積まれた先生の方が症例をこなしているのではないかと思います。要は、この手術に対する考え方の相違で実施されたり、回避されたりということなのだと思います。

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