意見交換掲示板過去発言No.0000-201008-61
Re3:猫かぜのキャリアの仔のセカンドオピニオンをお願いします |
投稿日 2010年8月25日(水)17時29分 投稿者 プロキオン
ウイルスというのは、生体にとって外部から体内に侵入してきて、宿主であるその生体になんらかの作用を与えます。この作用というのが、大抵の場合、悪い結果となるものであって、ひどい場合は宿主である生体の生命を奪ってしまうこともあります。 寄生される宿主側も、一方的にやられてしまうわけにもいきませんので、そのウイルスを駆逐するようになります。このためにウイルスをやっつけるための免疫抗体をつくるようになります。 そうしますと、ウイルスも免疫抗体にやられるままでは、生存も増殖もできませんので、さまざまな対抗策をとるようになります。 ある種のウイルスは、宿主の体細胞とくにその核の中の遺伝子情報としても、潜り込み一定の期間を眠りについて大人しくしているという戦略をとります。 別のウイルスは、宿主の体内で増えるだけ増えてたら、一旦、宿主の体外にエスケープする方策をとり、免疫抗体がまだ少ない新たな宿主を捜します。このケースですと、未感染の同種動物である場合と、昆虫のような別の生物であったりする場合があります。 そして、また別のウイルスは、免疫抗体が分布しにくい組織の中に避難したりします。これは、免疫抗体が血液を介して運ばれることが普通なので、血液やリンパ液が到達しにくい組織、つまり神経組織に避難して、血液中を免疫抗体がパトロールしている期間をやり過ごします。免疫抗体というのも、時間の経過とともに減少していきますので、その時をまって再び血液中に出現して、増殖をする機会を狙っているということになります。 ( 神経組織は、脂質に富んでいる組織であるので、他の組織よりも水溶液である血液が浸透しにくいのです。したがって、免疫抗体も標的であるウイルスにまで届きにくくなります。) いわゆる猫風邪の原因となるウイルスは、この3番目のタイプのウイルスなので、猫の体内に残り続けて、増殖するチャンスを狙っていることになります。慢性化してしまうと、治療が長引くことになります。
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