意見交換掲示板過去発言No.0000-201312-66
Re4:教えてください |
投稿日 2013年8月16日(金)16時18分 投稿者 プロキオン
>トイ種=短頭種とは思っていません。 トイ種をさらに細分化した時に、短頭種・中頭種(トイ種)・長頭種の認識です これは、あっているようなあっていないようなというところです。最初のレスに書いたように、異なる基準によってのグループ分けですので、短頭種とトイ種という分け方を並列させて扱うところに誤解が生じていると思います。 競泳の選手と陸上の選手、どちらにも100m・200mという競技はありますが、どちらが早いという比べ方はしないでしょ。分野がちがうわけですから。血液型でも「RH型は何型ですか?」という質問であれば、「A型です」という返事では回答にはならないでしょう。 「A型のRH(−)型です。」というのであれば、一応、質問者の聞きたかった回答にはなりますよね。チワワが短頭種であるか否かという質問になぞらえれば、短頭種がRH型にあたり、トイ種がABO式の血液型に相当します。 短頭種とトイ種は、最初から分類の基準を異にしていますから、横並びの並列で表記するべきではないのです。 両者は最初から別基準の分類であって、トイ種=中頭種ではありません。頭蓋骨のスカルの形態からは、短頭種、長頭種、とそれらに分類されない中頭種との3つの分類だけであって、トイ種という頭蓋骨形態による分類はありません。 トイ種という分類は、その品種の使役目的や製作過程による分類の1つです。こちらの分け方であれば、ガンドッグ、ハウンド、ワーキングドッグ、テリア、トイ、コンパニオンドッグ、ハーディングドッグ、ジャパニーズドッグという分類になります。JKCの分類になりますと、これよりもさらに分ける事になりますが、ショーを開催するに際しては、グループが沢山あった方が、それぞれのチャンピオンを選出することもできますし、より細分化した方が、それだけ犬の実相に近づく事ができるというだけのことだと考えられます。 すなわち、JKCの第9グループというのも、ほとんどがこのトイ種のグループと重なっており、そこに所属する品種の多くは短頭種に相当する頭を有しています。 先のレスの繰り返しになりますが、トイ種というのは、婦人でも抱く事が出来る程度の大きさがその名の由来です。 プードルを例に上げますと、スタンダードプードル、ミニチュアプードル、トイプードルという大きさによるわけ方がありますので、分かりやすいかと思います。トイというのは、文字通り玩具として扱える大きさに由来しています。 >調べてみると、飛行機会社以外にもチワワが短頭種として扱われていない所が動物病院にも見られた為、分類として何故なのか?唯、純粋に疑問に思った次第です。 その場合、どの様に案内されているかと言うと『トイ種(チワワ・ヨーキー等) 短頭種(フレンチブル等)』とハッキリ区切られています。 この表記の仕方も異なる分類基準を並列させてしまっておりますが、それぞれの代表されている品種を見てみると、その意味が分かります。 つまり、小型である犬の代表として、チワワやヨーキーを上げており、短頭種と言ってすぐに頭の形が思い浮かぶ代表としてフレンチブルドッグを上げているだけのことです。 この時に短頭種として、フレンチブル以外にパグやボストンテリアも上げられたりしますが、これらの頭蓋骨の形態が把握しやすい品種以外にも、シーズーも短頭種としてあげても納得していただけると思います。これらの犬は、リンゴのような頭蓋骨と両目が前方にそろっていること、そして口吻が短く、鼻と目の間に皺があり、鼻孔もやや上を向いています。これらの犬を頭に思い浮かべてしまいますと、鼻梁がまっすぐなマルチーズは、どうなのだろうと迷ってしまいがちです。でも、口吻の長さということであれば、シーズーとマルチーズでは、あまり差があるともいえません。鼻が上を向いているか否かのイメージが迷わせているだけであって、その他の構成要因というのには、差がないのです。 また、ボストンテリアの鼻を見て見ますと、皺にしても鼻孔の向きも、フレンチブルやパグほどではありません。 短頭種という概念を把握しやすくするためにあげた例示が、あまりに外観が似たものばかり集めてしまったので、ちょっと異なる点がある品種の判断を迷わせてしまうことになってしまったのでしょうね。 >これは昔のチワワが今ほどバランスの取れた体型ではなかった為、中頭種として扱われてた時代があったのではないかと思い、何か御存知ないかと質問させて頂いた次第です チワワの元となったテチチについては、本年7月7日付の「Re7:純血種は弱いのか?」というレスの中でも触れておりますが、この犬については、現在の分類とは関係していないのではないでしょうか。と言いますか、これがテチチだという犬が残っておりませんので、どのグループへと分類しようがないと思います。強いてといえば、やはりチワワの原種なのですから、チワワと同じグループに分類するしかないと思います。 また、現存していたとしたら、ラサアプソとシーズーの関係ように、テチチはテチチとして分類されているはずだと考えられます。 そして、何故、動物病院やペットショップで、短頭種とトイ種が並列されたりしているところもあるのかということになれば、はっきり申しまして、あまり意味がないことだからではないでしょうか? これは、佐藤太郎さんという人間がいれば、この人物は藤原氏の末裔で東国に下った者達の子孫の1人であって、太郎さんだから長男であろうというカルテの書き方はしませんよね。佐藤太郎さんと直接記載した方がハッキリと人物を特定できるからです。 ある犬が受診したとして、その犬のことをトイ種であって、短頭種である犬という記載はしません、チワワという品種を表記した方が、よりその犬の特徴を現しているからにすぎません。ジョンであれ、ロッキーであれ、チェリーでも姫でも、チワワと品種を記載することで充分な分類になってしまうからです。 短頭種、長頭種という分類は、小型愛玩犬の多くは、短頭種である事が多いので、わざわざ書く事ではありませんし、トイという表現もプードルのように同じ品種の中でも大きさによる差がないかぎり、書く必要もありません。チワワは、チワワと記載するだけで充分なのです。だから、日常的には、そのような分類を厳密にということはないのです。 また、それ故に、チワワはどちらと聞かれたときに、「チワワはトイの代表だったよな」が先に頭のなかに浮かんでしまうと、即答することの妨げになってしまっているのではないでしょうか? そして、これが航空会社の場合になりますと、フレンチブルドッグやパグを教示した方にすれば、頭の形を理解しやすい代表としてであろうし、「短頭種」という表現での括りにしておけば、犬の輸送を受けるにしても、断るにしても、運用に都合がよいことになります。300も400もある犬の品種を全てあげて、厳密に運用するよりも、「短頭種」という括りにしておけば、ずっと運用しやすくなります。 が、しかし、現場のフロントにすれば、犬の品種をすべて記憶して、それぞれが該当するか否かを判断できるとも考えられませんし、そういう現場教育が為されているとも思えません。短頭種をブルドッグタイプの犬という理解だけであれば、また同様の事は起こりえることですし、犬の品種に詳しくない担当者でもない限りは、飼い主さんが航空輸送を依頼してくれば、それに応えようとしてしまうのではないかと思います。 ( 補 足 ) 長頭種の犬となると、サルーキやボルゾイのような品種が代表となりますし、中頭種となりますと、理解しやすいのは日本犬ですね。 犬種のスタンダードブックには、「短頭種」とか「長頭種」とかいう表現はありませんし、鼻が上を向いているというのも、アンダーショット、オーバーショット等の問題ですので、直接の関係ではありません。 また、本当は、頭蓋骨の形態による分類というのには、バリア型、スピッツ型、ハスキー型、シープドッグ、マスティフ、グレーハウンド、ピンシャー、ハウンド、スパニエル、プードル、テリアの11のタイプに分ける分類があります。 そして、JKCでは、同じ頭蓋骨の形態による分類を10のタイプに分けていたりします。 ここまでの細かい分類が存在していたりしますと、〇〇はどのタイプに該当するのかということになりますと、本当に回答に窮してしまうことになります。獣医学ではなく、解剖学の分野になってしまいます。 ですから、チワワはチワワで充分であって、短頭種に該当するか否かという質問に出会ってから、初めて考えることになるわけです。
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