意見交換掲示板過去発言No.0000-201501-70
Re2:フェラリア感染 |
投稿日 2015年3月14日(土)12時27分 投稿者 プロキオン
すでにムクムク先生からレスがついていますが、もう少し補足しておきますと。 「フィラリア予防薬」と呼称されている薬は、実際には感染仔虫や幼虫の駆虫薬であるというのが本当の姿です。したがって、フィラリアの感染を予防しているわけではなく、この薬を服用した時点で犬の体内に侵入してしまっている感染仔虫や幼虫を殺滅してくれていることになります。ムクムク先生の言われているように、服用以前の感染仔虫や幼虫のリセットがその薬理作用であって服用目的です。 これを結論から言葉にすると、フィラリアの幼虫が成虫になってしまうこと、すなわち「感染の成立」を予防するということになるわけです。 実際に感染が成立してしまって仔虫や幼虫が成虫になってしまったケースでは、この所謂「予防薬」ではフィラリアの成虫を駆虫することはできません。 それでは、なぜ、>預かり犬がフェラリアの強陽性で服薬しています< ということがあるのかといいますと、成虫が産出しつづける仔虫がいるわけで、これらは宿主である犬の抹消の血管に栓塞してそれぞれの臓器に対して実害を及ぼします。それを防ぐために成虫は殺せなくても仔虫を駆虫する目的で投薬されたりしますし、成虫自体もこの薬の為に不妊化されてその寿命も縮められてしまうことになるのです。 ただ、口ではこのように簡単に言ってしまえますが、すでに感染が成立してしまっている犬に「予防薬」をいきなり服用させますと、一度に大量の仔虫が死滅しますと各々の臓器へ血液を供給をする抹消の血管を塞いでしまい、危険な状態に陥ったり死亡事故が生じたりします。 フィラリア予防薬を服用させる前には必ず血液検査をして感染が成立していないことを確認してからと能書に記載されているのは、このためです。 感染犬に予防薬を服用させるには、事前・事後の医療的な処置をともなってこそ実施できることなのです。 そしてお書きになられている預かり犬は、季節にかかわらずに薬を服用されているようです。ある程度の期間服用が継続されていれば、おそらく体内に新たな感染源となる感染仔虫をもっていないのではないかと推測してもゆるされるのではないかと思います。 となりますと、今急いで御自宅の犬に「予防薬」を服用させなくても、一般的な夏期の季節的な服用でも目的は達せられるのではないでしょうか。 さらに補足となりますが、フィラリアの成虫が産出するミクロフィラリアは、今感染している宿主犬の体内やキャリアーである蚊の体内において、脱皮を何回か繰り返して成長します。そして第三期仔虫にまで成長して初めて他の犬の体内へ侵入して成長するに至ります。 この感染能力を有する第三期仔虫に成長するまでには、一定の温度が累積させる必要があって、この条件が満たされた時期をもって季節的な流行が開始されるとされています。 この時期は、私の住む地方では毎年5月の中旬ですので、フィラリア予防薬の服用開始はこの時期から1ヶ月送れでスタートします。 5月の中旬から服用してもよいのですが、ボールがピッチャーの手を離れてもいないうちからバットを振る必要はありませんから、無駄に空振りしないように、ボールがバッターにとどく頃合をみて確実に打ちにいくという方が効率的だということになりそうです。 結論とすれば、フィラリア感染犬がいても、獣医療的にコントロール下にある犬であれば、その犬からの感染の危険性は極めて低いでしょうし、御自宅の犬についても一般的な服用期間を守っていただくので大丈夫だと考えられます。
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