獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200205-55

フィラリアについて
投稿日 2002年5月14日(火)22時42分 Big 1

>科学的には、犬が蚊に刺されてから90〜120日後の間に予防薬を投与すればいいので、

揚げ足は取りたくありませんが、まったく科学的ではありません。

犬糸状虫の一生を説明しますと、メスの成虫から生まれたばかりの幼虫をミクロフィ
ラリア(mf:体長150〜300μm)といいます。フィラリアの血液検査で見つか
る幼虫というのはこれのことです。このミクロフィラリアは吸血によって蚊(トウゴ
ウヤブカが主だといわれています)の体内に侵入しマルピーギ管というところで発育
します。一回脱皮すると第2期幼虫(L2:体長460〜1100μm)、もう一度脱
皮して第3期幼虫(感染幼虫:体長915〜1100μm)となり、マルピーギ管から
蚊の吻鞘に移動して吸血時に皮膚の上に下り、蚊の吸血でできた傷から犬の皮膚内に
もぐりこみます。(感染)

(ミクロフィラリアは蚊の体内に入らない限り脱皮せず、1年〜1年半の寿命で成長
することなく死滅していきます)

感染後3日〜半月ぐらいで脱皮して第4期幼虫(L4)となります。このときが犬糸状
虫の一生で一番小さくなると言われています。感染後50日から68日でもう一回脱
皮して第5期幼虫となります。ここからは急速に成長して大きくなり(感染後3〜4
か月で3〜11cm程度になるといわれています)静脈に入り肺動脈内に侵入して成
熟します。

フィラリア予防内服薬は上の説明に出てきたL3、L4仔虫を殺す薬です。(一部の
予防薬はL4のみ殺虫)従って、最長でも感染後50日ぐらいまでに予防薬を投与す
る必要があります。90〜120日後では予防薬の有効な時期は過ぎてしまっています。

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