獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200305-73

義眼、シリコンボール
投稿日 2003年5月13日(火)12時18分 プロキオン

ちょっと、横レスです。

シリコンボールの場合は、眼球グローブ内部の硝子体を除去して、眼球内部に
挿入します。
このため、眼球組織は正常に存在していることが望ましいはずです。このよう
な形で適応されると、顔形としては正常な形態が保たれ悲惨な姿となりません。

義眼の場合は、眼球のあらかたが失われていても後部の組織が残されていれば
眼球床の形成は可能と思われます。義眼そのものは球形ではなく前面からはめ
込むような形であることが多いです。
したがって、こちらの場合は発育に応じてサイズ変更が可能です。人間である
と発育に応じて白目の白さが異なってきますので、真っ白から黄色に着色され
たものやら、大きさも様々にあります。これらは段階に応じて注文製作となる
のだそうです。
犬の場合は、強膜に被われた白目の部分があまり外からは見えませんので、大
きさ以外の要素は考慮しなくてもよさそうです。

お話にありました内容から推測するには、眼球を完全摘出して眼瞼を閉鎖する。
その際に摘出した空洞を塞ぐ目的のように思われます。
そのような目的であれば、義眼である必要はないと思います。義眼はあくまで
も見た目の概観を損なわないことに目的がありますので、眼瞼を閉鎖してしま
うのであれば、義眼である必要はありません。

患者が子犬で小眼球症であれば、義眼もシリコンもどちらも、そのままでは適
応でないように思います。適応以前の段階が必要なように感じます。
閉鎖が目的であれば、これらの処置はかならずしも必要としません。

単に眼瞼の開眼が癒着によって妨げられているのであれば、癒着を解除してあ
げれば良いでしょう。
小眼球症の犬というのは、予想外に見かけます。多くは動物病院で飼育されて
いるのですが。
私の犬も子犬の頃からの片目で、ちょうど同じような理由で説明されていまし
た。片目は片目でしたが、別段生長したからと言って、不自然になったわけで
はありませんでした。傷付いた目であっても生長していましたよ。

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