獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200401-56

Re:体質改善・唸ります
投稿日 2004年1月7日(水)16時57分 パールちゃん

トムリンさんへ。

白っぽい膜が張ったような便は脂肪分が吸収しきれずに出ている便です。
一時的なものならぜんぜん心配ありません。
下痢止め薬の必要はないと思います。
獣医さんはおなかの調子を整える目的で処方したんでしょうね。
下痢でもなく、もう白い膜の便でもないなら飲ませなくてもいいと思いますよ。
便が柔らかいときは1日当たりの食餌回数は増やさず、
回数を減らしておなかの中が空っぽになる時間帯を作ってあげるほうがいいですよ。
1日3回の食餌だと常に胃腸を働かせることになるのでので消化吸収のために胃腸がフル稼働になってしまいます。
と、消化物から水分を吸収する能力が落ちるので水分過多の便、つまり軟便になります。
軟便のときは1日当たりの食餌回数を減らす、下痢ならもっと減らす、そのほうがいいです。
毎日ちゃんと排便をする子は、前日に食べたものはたいていは翌日に出てきます。
なので、フードがその子に合っているかどうかの判断はおよそ3〜4日が初期の判断で、
体調や気温の変化を含めると1週間もあれば「いいウンチが続くな」「あ、ウンチゆるいな」の目安がつくと思います。

おもちゃやゴハンに手を出すと歯をむき出して唸るのは「取られる」と思うからですよ。
楽しく遊んだり、安心しておなかいっぱいゴハンを食べた経験がない子なんです。
遊びも食餌もいつも競争で、「これを確保しなければ」と必死になることを強いられて育ってきたのでしょう。
保身に神経を削ってきたかわいそうな子です。
でも、人間大好きでおっとりした優しい一面もあるのは、
過去に一時でも人間の優しさにふれた経験があるからなのと、
その子がもともともっているおおらかで素直な性格のおかげです。
うちにも成犬になってから我が家にきた子で、食餌中に手を出すとウーと唸っていた子がいます。
何日かおきにしかゴハンをもらえず飼われていた子です。
そのときにそれを食べなければ死んでしまうという状況で育ったので、
ゴハンに手を出されることにものすごく警戒心と攻撃姿勢を見せていました。
そういう子には時間をかけて気長に安心を与えてやるしかありません。
「ぜったいに取らないよ」「安心して食べなさい」を根気よくわからせてあげました。
食餌もおもちゃも同じです。
取る人≠ナなくくれる人≠ネんだと理解させてあげる時間が必要です。
仰向けにされたり下半身をさわられるのはもともと犬は嫌いです。
体の弱点をさらすのは命の危機ですから、よほどの信頼がないとおなかゴロンはしてくれません。
無理強いはぜったいに禁物です。
この人はぜったいに怖いことなんかしない痛いことなんかしないと犬が思ってくれれば、
自分からおなかゴロンしてくれます。その日を待ちましょう。
ダメージがある股関節は特にさわられるのをいやがると思いますので、そこだけ集中してさわらないように。
頭や首をなぜながらさりげなくスーッと背中をなぜ、
そのついでにそっと腰や足をさわるくらいにしておいてください。
歯をむき出して唸るのは「やめて」の警告です。
「やめて」といわれたらやめてあげてください。
そうしたからといってワガママで人を言うなりにさせようという犬になってしまう心配はありません。
まずはぜったいの信頼を築くことが大切。
そのためには、犬が何を考えているか、犬の気持ちを汲んであげてください。

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