獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200403-10

Re:膝蓋骨脱臼
投稿日 2004年3月2日(火)14時49分 投稿者 パールちゃん

トムリンさん、こんにちは。
膝蓋骨脱臼は、ヒザのお皿が本来おさまっているはずの大腿骨の溝からはずれることです。
4段階に分けて診断されますが、1度はいちばん軽症です。

・1度 ヒザを伸ばして膝蓋骨を人の指で押すと脱臼する。
    押すのをやめると元に戻る。
・2度 ヒザを曲げると膝蓋骨が脱臼する。
    ヒザを伸ばすと自然と元の位置に戻る。
・3度 ヒザの曲げ伸ばしに関係なく、脱臼したままの状態。
    たまに元の位置に戻ったり、人為的に指で押すと戻ることがあるが、
    ヒザを曲げると再び脱臼する。
・4度 常に脱臼したままの状態で、人為的に指で押しても元に戻らない。

手術の必要があるとされるのは、両足とも3度になって生活に支障があるときと、
片足が4度でもう一方の足にも悪影響が出るだろうと予想されるときです。
RUNちゃんのような1度の場合は、ハズレ癖がつくようになるかもしれない≠ニいう
最も軽度な段階なので、薬の必要も手術の必要もまったくありません。
本人(犬)はヒザに少し違和感を感じることはあっても、常に痛みがあったり歩行が苦しいという自覚症状はないと思います。
このあと2度3度に悪化させないためには、膝蓋骨に負担をかけすぎない生活をすることと、膝蓋骨周辺の筋力の維持が大切です。
フローリングの床やふかふかの布団の上で走ったり跳んだりさせないようにしてください。
足裏の接地が不安定な状態というのがいちばんいけません。
滑る、ひねる、ぐらつく、などがないような環境にしてあげてください。
かといって安静にしておくと今度は筋力が落ちて膝蓋骨を支えるスジが鈍化してしまいますから、
散歩など一定の速度で歩かせる運動はヒザの状態を見ながら少しずつやってください。
軽いケンケン歩きや足を浮かせて歩くなどのときはヒザのお皿がはずれかけているか、はずれているときです。
人為的に戻す方法を獣医さんに教えてもらっておくといいですね。

トムリンさん、ヘルニアじゃなく膝蓋骨でよかったと思いますよ。
ヘルニアは痛みがひどくなったり下半身全体に影響が及ぶことがありますが、
膝蓋骨脱臼ならよく観察しながら症状とうまくつきあっていくことができます。
もし手術となってもRUNちゃんはまだ若いですから大丈夫。
心配しすぎてRUNちゃんを弱気な子にしちゃわないでくださいね。
多頭飼いのなかに弱気な子がいるのはトラブルの元になりますからね。
そのほうが私は心配です。

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