獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200404-110

Re:狂犬病ワクチン
投稿日 2004年4月21日(水)01時55分 投稿者 パールちゃん

あべさんへ。
狂犬病予防法の文章中には、一切、免除や猶予の言葉はないんです。
条文の<予防注射>の項は、犬の所有者は狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせなければならない、となっているだけです。
老犬や病犬は例外になっていないんですね。
ですから、「うちの犬は年寄りだから免除してもらった」というのはありえない例外ということになります。暗黙の了解と言い換えてもいいでしょう。
大原則としては、どんな犬もどんな状態でも狂犬病予防注射は受けなくてはいけません。
高齢だったり持病のある子は、集合注射時の問診だけで判断するのではなく、
事前にかかりつけ獣医さんによく相談したほうがいいですね。

フィラリア持ちの犬がいちばん気をつけなければならないのは、
血流に急激に変化が起きる状態です。
眠りから覚めてすぐに走り回るとか、ずっと我慢していた飲み水を急にガブ飲みするとか。
いわゆるドロドロ血の状態が長く続くのはもちろんよくありませんが、
まとめて大量に水を飲み、ドロドロ血が急にサラサラ血(に近いもの)になるのもよくありません。
フィラリア持ちの子は心臓に爆弾を抱えているのと同じです。
フィラリアの子虫を薬でうまく駆虫できたとしても、親虫はまだ心臓に寄生している可能性があります。
その親虫が死んで(寿命は5〜6年といわれています)、死骸が血管を詰まらせるかもしれないとき、
犬の体には大きなリスクが伴います。
血流の急激な変化は子虫や親虫(またはその死骸)を血管内で動かすかもしれず、
それが血管内に詰まると呼吸困難やショック症状や急性心不全を引き起こす原因になります。
運動の前にはウォーミングアップ、運動の後にはクールダウン、
こまめに少しずつ水を飲む、脂肪食を控えてコレステロールをためない、暑くなく寒くなく暮らす、そういう配慮がフィラリア持ちの子には必要ですね。
うちにも子虫だけを駆虫したフィラリア持ちの子がいて歳も同じくらいですから、あべさんの心配な気持ちがよくわかります。
フィラリア持ちの子にとってフィラリア駆虫の薬はとても負担が大きいですから、
他のどんな薬もフィラリア駆虫薬投与から一定の期間を空けてからにしたほうがいいと思います。
具体的には、少なくとも1週間は様子を見て、フィラリア駆虫が問題なく済んだかを見極めるといいと思います。

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