イヌ掲示板過去発言No.1100-200404-87
うたさんへ |
投稿日 2004年4月15日(木)02時44分 投稿者 パールちゃん
私の過去最愛の犬は、利尿剤の日々を過ごしたのち死にました。 利尿剤を効かせて肺にたまってしまった水を抜くため、私は愛犬に散歩と飲み水を我慢させました。 私はそのときのことをずっと後悔しています。 利尿剤を与えるとものすごく喉が渇きます。 口の中の湿り気もなくなり、喉がカラカラになった愛犬は水を飲みたがりました。 しかし、利尿剤で体内の水分を出そうとしているのに水を飲ませてしまってはなんの意味もありません。出す水も入る水もたくさんではいたちごっこです。 獣医さんからも、「とても水を飲みたがると思いますが、ガブ飲みはさせず一口か二口にとどめてください。ガブ飲みさせると体力を消耗します」と指示されました。 私は水入れを隠し、数時間毎にペロペロと舐めるだけの水を与えました。 愛犬は、もっと飲みたい、もっとたくさん欲しいと催促しました。 立ち上がるのも苦しいほど弱っているのに、やっとのことでおすわりをし、お手までして水を催促しました。 それでも私は飲み水を制限しつづけました。 酷なことを続けました。 うちの犬も、けして室内では排泄せず、外でする習慣でした。 だから、運動を制限するように言われても、「今日から家の中でね」は無理なことでした。 利尿剤は体内の水分をどんどんおしっこに変えて外に出すための薬ですから、ふだんの何倍も何十倍もおしっこは膀胱にたまります。 それでも愛犬は、我慢して我慢して、けして室内ではおしっこをしませんでした。 外に行きたい、外に行かせて、そう必死に目で訴えました。 根負けした私は外に連れ出しました。 ドアを出てすぐ、愛犬は溜まりに溜まった大量のおしっこをし、満足な顔で家の中へ戻ったあと、倒れました。 それまで我慢していた大量のおしっこを出したため血圧が急に変化したのでした。 それからしばらくして愛犬は息を引き取りました。 私は利尿剤を使えば愛犬が元通りに元気になると思っていました。 まだ9歳9ヶ月で、それまで一切の病気とは無縁の犬でした。 なぜ肺に大量の水がたまってしまったのかは原因は不明です。 心臓には異常の所見はなく、死亡後に獣医さんに剖検をお願いしましたが、やはり心臓自体には問題は見られず、とてもきれいだったそうです。 利尿剤を与えたことで飲み水と排泄を我慢させ、そのことをとても後悔したことを、後日、私は獣医さんに話しました。 「あのとき、僕は利尿剤で改善・回復すると判断しました。そしてそれを薦めました。 あなたはそれを信じてくれた。そして、つらい看病をがんばった。 結果として僕の判断は間違いで、利尿剤であの子は改善しなかった。 自分の技量の限界を反省し、あの子を苦しめる結果になったことを申し訳なく思います」 獣医さんはそう言いました。 「先生の判断を信じて、納得して利尿剤を与えたのだからそれは後悔していません。 でも、排泄したい、水が飲みたい、そういう当たり前のことを我慢させたこと、 なぜすぐ利尿剤はやめようと思わなかったのか、自分でそれを後悔しています」 私はそう言いました。 「僕ら獣医師は症状が治るか治らないかや薬が効くか効かないかばかりに考えが行ってしまって、 そのことが患畜の気持ちや習慣にどんな影響を与えてしまうかにはなかなか思いが至らない。 痛みや苦しみを軽減する配慮はしたとしても、排泄や食餌や飲み水のことになると、 治療中なんだからそのくらい我慢してほしいと軽く思ってしまいがちでした。 でも、そうじゃないんですね、彼らにとっては。 それまでの生活を変えない、何も我慢しないでいい、慣れた家で好きな人のそばにいる、 それが物言えぬ彼らにとって最も望むことなんですね。 これからは薬の処方もよく考えるようにします。 心臓の薬や利尿剤は運動制限や飲み水制限がつきまとうものなので、 それがその子の生活にどういう影響を及ぼすか、飼い主さんともっと相談するようにします。 場合によっては薬を打ち切ってでもその子の生活を守ってあげることを優先しなきゃね」 「よかれと思ってやっている治療なんだから先生の判断がぐらつくのは困りますよ。 そのときそのときの判断は今までと同じで信念をもって示してください。 飼い主側は治療がもたらしているストレスを先生にどんどん言うようにしなきゃいけませんね」 「あの子は大きな宿題を残してくれたなぁ」 うたさん、私がうたさんに伝えたいのは、 ボクちゃんのためのことをしてあげてくださいということです。 生活をなるべく変えない、我慢することはなるべくないように、 それが持病をもった老犬にとって最良のことだと思うのです。 単刀直入に言うと、何も我慢せず好きなことをさせて残りの日々を過ごすか、 それとも我慢を強いて少しでも長く生きてほしいと願うか、そのどちらかです。 発作が起きるのは苦しいことだと思います。 が、もしそうでも好きなことをしたいとボクちゃんは望んでいるかもしれません。 けして、苦しむのを見たくないという気持ちを優先しないでください。 残された時間の主役はボクちゃんです。 ボクちゃんの気持ちをいちばん大切にしてあげてください。 |
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