獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200404-90

Re:犬の気持ちと飼い主の対応
投稿日 2004年4月15日(木)23時28分 投稿者 パールちゃん

mallinさん、こんばんは♪

> 他のワンちゃんは、もっと寡黙なんでしょうか。

そうですね、人に何かをしてほしいと伝えるとき、犬は最初からあまり声は出しません。
まずは足元にきて、人の目を見たり、おすわりしたり、しっぽを振ったり、前足でさわったりします。
それでも人が動かないと「クゥーン」「ヴー」など鼻鳴き・喉鳴きをします。
それでもまだ人が動かないと「ワン!」と大きな声を出します。
それでもまだまだ人が動かないとドーンと飛びついてきたりします。
こういう段階を踏んだ催促≠ヘ、仔犬が母犬におねだりをするときの仕草です。
相手の気を引くためのテクニックなんですよね。

人のところにきて「ねえ、ベッドに乗せて」と言うのではなく、
ベッドのところで「ベッドに乗せて〜」と言うのは猫タイプですね。
猫は対象に対して直接型、犬は間接型なんです。
たとえば、おなかがすいてゴハンを催促するとき。
猫はフードの置いてあるところでニャーンと鳴いて人の顔を見ます。「これをちょうだい」なんです。
でも犬は人間のところにきて「ごはんをちょうだい」と言います。
ボール遊びをしているときもそうです。
猫は投げてもらうボールそのものだけに興味を示してボールを追いかけます。
でも犬はボールを投げている人間の手をとらえてボールを手に入れようとします。
待ち伏せ方式の狩猟動物(猫)と追い立て方式の狩猟動物(犬)の差なのかもしれませんね。

> トイレのしつけとかで「その場で教えないと犬は理解できない」ってよく言われますが、
「あとで」= いずれ約束が果たされることが理解できるんでしょうか。

「その場で教えないと理解できない」のではなく、
「その場で教えたほうが理解しやすい」っていうだけのことなんです。
トイレのしつけはした直後に誉める≠アとばかりクローズアップされますけど、
してあったものを誉める≠ナも充分にしつけの効果はあります。
叱る場合も同じです。
よく、その場その時に叱らないと意味がないと言われますが、
かじってあったスリッパを指差して「ダメっ」と言えば、
これをこんなふうにするのはいけないこと≠ニ充分に伝わります。
「あとで」= いずれ約束が果たされる≠ヘ、【必ず】約束が果たされれば「あとで」を理解するようになりますよ。

飼い主の一貫した態度といっても、いつもいつもきっちり一貫とはいきません。
アバウトでいいんですよ。
いいものはいい、だめならだめ、「あとで」ならあとで必ず。
何を言っているか聞いてあげること、それに答を出してあげること、それだけでいいんですよ。

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