イヌ掲示板過去発言No.1100-200405-18
フィラリア |
投稿日 2004年5月6日(木)00時45分 投稿者 パールちゃん
フィラリアに関して誤解が多いので書きます。 まず、フィラリアは完治しないということを知ってください。 正しく言うと、いくら治療をしても、 「これで完治しました」といえる病気ではないのです。 フィラリアは寄生虫です。 幼虫のうちは犬の体の中と蚊の体の中を行ったり来たりし、 成虫になると犬の心臓と肺動脈に寄生する虫です。 フィラリアにかかって、咳が出たり、しゃがれた声を出す犬は、 すでにフィラリア成虫が心臓や肺動脈に住み着いています。 手術や薬でその成虫をうまく取り除いたとしても、 フィラリアが住み着いていたことによって一度傷ついた血管はなかなか健康な血管には戻りません。後遺症のような感じで、呼吸困難・苦しい咳・貧血・慢性心不全などがずっと残ることが多いのです。 つまり、治療によって犬の体内からフィラリア虫がいなくなっても、 犬の体はフィラリアにかかる前の元通りの体には戻らないのです。 さらに、咳などのひどい苦痛が表れるのはフィラリアにかかってから数年経ってからなので、 そのときには犬は高齢に達していることが多いのです。 高齢になった犬にフィラリア成虫を殺す強い薬を使ったり、 フィラリア成虫を取り出す手術をするのはとても困難です。 そうなると、それ以上犬の体内にフィラリア成虫を増やさないために、 幼虫だけを薬で殺し、住み着いている成虫に対しては何もしないということが多々あります。 成虫の寿命が尽きるのを待つというわけです。 ですが、フィラリア成虫の寿命は5〜6年といわれています。 すでに高齢に達してフィラリアによる咳などに苦しんでいる犬は、 フィラリア成虫の寿命が尽きるより早く、犬自身の寿命が尽きることのほうが多いのです。 ふだんフィラリア予防薬と呼んでいる薬は正確には予防のための薬ではありません。 フィラリアにかからせないための薬ではなく、 フィラリアにかかったあとそれをひどくさせないための薬なのです。 つまり、犬は蚊にさされるものだということを前提に、 フィラリア幼虫を体内にもった蚊が犬を刺してフィラリア幼虫を犬に移らせてしまったあと、 その幼虫が成虫になって犬の心臓や肺動脈に住み着く前に一気に殺してしまう薬なのです。 食欲を保って基礎体力を維持しつつ太らないようにする、 暑くなく寒くなく、おだやかにのんびり過ごす、 激しい運動や興奮は避ける、 そして何よりも、かわいがられて暮らす・・・ それがフィラリアをひどくしてしまった犬の余生です。 フィラリアについてさらにくわしいことは、ぜひ下記のリンク先を読んでください。 |
|
|
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」 ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴) サポーターや広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)、 多くの人々に支えられています。 獣医師広報板へのリンク・サポーター募集・ボランティアスタッフ募集・プライバシーポリシー 獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。 @mukumuku_vetsさんをフォロー
Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved |