獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200405-6

Re:吠える
投稿日 2004年5月3日(月)14時57分 投稿者 パールちゃん

心之助さん、こんにちは♪

心之助くんはとても素直なんですよ。
人間のなかにもいますよね、お世辞やお愛想ができなくて、思っていることが顔に出てしまうタイプの人。
心之助くんはきっとそういうタイプなんですよ。
だから、ほかの犬が黙ってしっぽを振るだけで済む感情表現のときでも、
吠える≠ニいうオマケがつくんだと思います。
心之助くんだけでなくトイプードルっていう種類がそうなんだともいえますし、
トイ系の小型愛玩犬種の多くがそうなんだともいえます。
もともと小型愛玩犬種は、常に飼い主のそばにいて飼い主べったりの生活をおくり、かわいがられるために作られた生き物です。
自己主張がはっきりしているという点もかわいがられる要素のひとつです。
飼い主にとってのオンリーワンとして生きることが血にインプットされているんですよ。
すぐ声が出てしまうのはそういう理由からです。
吠えることはいちばんストレートに飼い主に自分の気持ちを伝える方法ですから。
ご主人が帰ってきたときの「うれしいな、うれしいな」も、
お散歩中に会った人に手を出されたときの「この人、誰? 怖いよー、やめてよー」も、
ごく普通の感情であって心之助くんが人間嫌いの問題児だからということではありません。
「うん、わかったよ」と、まず吠える意味を理解してあげることが大切だと思います。

散歩中に犬仲間を作りたいというのは飼い主だけの希望で、
心之助くんはそんなことは望んでいないのです。
飼い主にかわいがられることだけが心之助くんがもって生まれた特性ですから。
それ以上のこと、たとえばよその犬やよその人と友好の輪を広げることは、
小さな小さな「楽しかった、うれしかった、ぜんぜん怖くなかった」の経験を積み重ねないと実現しません。
逆の経験で、「あら、吠えられちゃったわ、この子は私が嫌いなのね」と手を出した人が立ち去っていくことを繰り返すと、
吠えればなんでも思い通りになるという結果になります。
手を出した人が吠えられてもくじけず、心之助くんの不安や恐怖を消す努力をしてくれるかどうかが鍵です。
自分の飼い主も相手の人も腰を降ろしてのんびりくつろぎ、
そこには何も不安や恐怖の材料がないということがわかれば心之助くんの警戒心はほどけます。
相手の人が連れている犬にも同じ態度が求められます。
心之助くんのほうから興味をもって近づくまではけして無理強いをしないことです。
月齢からいって今はいちばん外界に対して感受性が強い時期ですから、
今、怖い思いをすると一生この先ずっと内弁慶くんになってしまいますよ。

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