獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200406-122

re:猫イラズ
投稿日 2004年6月29日(火)12時07分 投稿者 プロキオン

お書きになられている情況で、衣服について運ばれる粉末等についてで
あれば、私もさほどの心配はいらないと思います。

実際に20キロくらいの雌犬が食べてしまったことがあり、飼い主さん
が大慌てで来院してきたことがあります。
この場合、元気については全然問題ありませんでしたが、尿は来院した
時点ですでに血尿でした。
猫イラズは肝臓におけるビタミンKの破壊がありますので、肝機能検査
をしたところ、肝機能の数値は予想した程ではありませんでしたが、採
血した血管からの血液の漏出が、やや止まりにくく延長していました。
もっとも、原因が分かっていたので、ビタミンKをどんどん入れちゃい
ました。
目の網膜における出血は、確認しませんでしたが(本人がズンズン歩き
回っているので)、後日においてもとくに視力障害はありませんでした。

成書にいては、クマリン系殺鼠剤の場合、これを食べて死んだ鼠を猫が
食べても死に至る事はないとの記述がありました。
薬剤の分解が早いものを使用しているため、鼠の体内でかなり分解が進
んでいるので、猫が死体を食べる頃には、無効になっているはずとの説
明でした。
もっとも殺鼠剤を食べて、弱っている段階の鼠であったらどうなのかと
いうこともありますし、食べた量も関係すると考えられます。
早い段階において、猫の処置を実施するのにこしたことはないように思
います。
とりあえず、甚急性の強烈な毒物というのではなく、刺激の少ない慢性
的な摂取を期待して製造されているということになると思います。

したがいまして、微量を継続しての蓄積ということを御心配なのであれ
ば、やはり犬であろうと、猫であろうと、飼育環境からは、猫イラズは
撤去されておいた方がよろしいかと思います。

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