獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200408-53

無駄(?)吠え&追いかけ癖 少し補足
投稿日 2004年8月13日(金)22時45分 投稿者 はたの

キーワードは、弁別と般化、です。
 弁別とは、刺激を区別すること。
 般化とは、刺激をごっちゃにすること。

 「逃げ去るもの」という刺激に対して、「追う」という行動が出るわけです。ですから、「逃げ去るもの」を、「追っかけていいもの」と「追っかけてはいけないもの」に分けてもらいたいということになります。
 「追っかけていいもの」を提供するのは、発散になるのはもちろんですが、うまく使えばそれ以上の効果が期待できます。これにはいい心理学用語・動物行動学用語がありませんので、私は遺伝学から拝借して、便宜的に「水路付け(チャルライゼイション)」といっています。たまっている水に、適した水路を与えてやれば、濡れては困るほうにあふれることはなく、いつも水が流れる水路はますます深く掘れて水が流れやすくなるわけです。つまり、般化が起こりにくくなる、ことになります。

 ただ、ちょっと厄介なのは、シープドッグに適した「水路」は、「自分より大きくて逃げるもの」なところです。ビーチボールなどを工夫するか、あるいはご自身が羊役をやるのも一案です。要するに、クルマや自転車より羊に似ているナニカを提供できればいいわけです。
 後者の場合、他所の人を追いかけたり、いつもいつも飼い主の周りを回ったりしないようにするためには、明確な合図を決める、特別な仮装をするなど、「弁別」の手助けがいるかもしれません。
 なお、フリスビーは遊び程度に。フライングキャッチとなると、歯や背骨にあまりよろしくありません。

 また、適切な水路として、単純な追跡だけでなく、回り込む、低くにじり寄る、軽く噛み付く、といった行動を教えるのもいいでしょう。

 吠えるほうも同じ側面があります。吠えていけない場合、をわかってもらうためには、吠えていい時、吠えたほうがいい時、を示すほうがいいのです。「吠えろ」「やめろ」を教えちゃうわけです。すると弁別可能となって、般化が起こりにくくなります。 

 

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