しちさんへ。
まず、その犬の飼い主さんと話をしてみることですね。
なぜその犬だけ散歩に行かないのかを上手に聞き出す話術が必要だと思います。
飼い主さんを批判するような会話になってしまわないようにしないといけませんね。

ただ、今のしちさんは自信をもって「お任せください」とはいえない状況ですよね。
その犬に怖さを感じているうちは散歩はおろか犬に近づくことさえ大変でしょう。
時間をかけて犬となかよしになり、犬をコントロールできる自信がついてからでないと散歩は無理です。
リードの端をもってぶらぶら歩けばいいということではないのです。
散歩中に犬を叱りつける場面も起こりえます。変な物を食べようとしたり、猫を追いかけようとしたり。
そんなとき、犬をコントロールし、ときには叱りつけ、場合によっては叩く必要がありますが、それができますか?
飼い主さんがOKを出しても、犬がしちさんを心から信頼していないと安全で安心で楽しい散歩は無理です。
それと、いったん引き受けたら1年365日しちさんは散歩を続けられますか?
用事があるから旅行に行くから体調が悪いからと散歩を休むのは飼い主さんは了解してくれても犬には通じません。しちさんを求めて犬は鳴くでしょう。
時間をかけて飼い主さんとコミュニケーションを取り、犬から信頼されるようにならなければ、
ご近所付き合いの面でも犬と人の関係の面でもよい結果にはならないと思います。

私はしちさんと同じような動機から1匹の犬とかかわりをもつようになったあと、
「ああ､この子は私を信頼してくれている」と確信するまでに5年かかりました。
そうなってしまうと犬は、あまりかわいがってくれない飼い主宅にいるよりは、
大好きで信頼できる人といっしょにいることを望むようになります。
そうなると、飼い主にとってはますますかわいくない犬になってしまいます。
その犬は私の犬になりました。
かかわってしまったときから、この結末は必然だったと思います。