獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200502-75

Re:プードルの交配
投稿日 2005年2月13日(日)03時44分 投稿者 パールちゃん

キキさんへ。
まず、ごめんなさい、「サイズは?」と聞くべきなのに「犬種は?」と聞いてしまいました。
プードルはプードルですもんね。

> 本で見たタブー交配のは4種類ぐらいしか書いてなかったのでそれだけなのかと思いまして

犬種としてのタブーと健康上のタブーと2つに分けて考える必要があります。
そしてどちらについても、「これとこれの交配はタブーです、でもそれ以外は問題ありません」とはけして言い切れるものではないということをまず理解しておかなければならないと思います。どんな子が生まれるかはわからない、育ってからどんなふうになるかはわからない、それが生き物ですから。
トイとトイの交配からミニチュアサイズが生まれるのはよくある話です。いわゆる先祖返りです。毛色に関してもそうです。レッドとレッドの交配からレッドが生まれないこともあります。望む仔犬が必ず生まれるとはかぎらない、それは裏を返せば、問題のある仔犬が生まれる可能性はけしてゼロにはならないということです。

犬種としてのタブーと最初のほうに書きましたが、これは色の混じったプードルはプードルとして登録されないという犬種基準上のタブーです。全身黒いけれど胸だけ白いとか手先だけ白いとかはプードルとして登録できません。
健康上のタブーとは遺伝性疾患を懸念する交配です。これはもう何十年もプードル専門の繁殖をしている人でさえ100パーセント確実に遺伝性疾患は出さないと宣言はできないくらいむずかしい問題です。

『確実な安心』はないのです。
繁殖者ができるのは、またするべきなのは、直系の3世代前まで(できるならそれ以上前も)の遺伝性疾患発生の有無と骨格の様子を調べること、直系以外にも母犬父犬の同腹仔、祖母犬祖父犬の同腹仔まで可能なかぎりの家系について健康状態をさかのぼること、そしてそのなかに1頭でも疑わしき個体がいたら繁殖を断念すること、それが良心だと思います。

ややこしいし、むずかしいし、これでは交配はするなと言っているようなものですね。
でも、ある意味、ホントにそうかもしれません。
純血種の繁殖は素人さんが簡単に手を出しちゃいけない世界だと私は思います。
特にプードルは(ダックスもそうですが)大から小へサイズ改良がされてきた犬種であり、そのなかでも小さいサイズが近年特に爆発的に流行している犬種です。
むちゃくちゃな繁殖の結果の仔犬が出回っているんだという認識を常に頭の中にもっていたほうがいいと思います。

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