獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200506-18

Re:ひとりでねたがらない
投稿日 2005年6月7日(火)02時33分 投稿者 パールちゃん

ききさんへ。
旅行に連れていくなら、ケージやクレートに入って安心しておとなしく待っていられるように教えるか、それができないなら犬から人が離れないのが鉄則だと思います。それが犬の安全のためです。カーペット代で済んだのは不幸中の幸いです。飼い主を追ってガラス窓を突き破り命を落とすことだってあるのですから。知らない場所でひとり置いていかれたらどれほど不安になることか・・。犬の気持ちを想像してください。
いっしょに寝る習慣がどうこうという問題じゃないと思います。問題はその子の心のなかの「安心感」です。安心感があればどこに行ってもどれだけ待ってもどこに寝ても犬は平気です。犬がパニックを起こすのは犬に安心感を与えることを飼い主が怠っているからです。ききさんは逆のことばかりしている、わざとその子を不安にさせるようなことをしてしまっています。これまではいっしょの部屋で寝ていたのに急に別室にしたり、旅先でひとりぼっちにさせたり。犬の心はそういう突然の仕打ちに耐えられるほどタフではありません。
たしかに、寝る部屋を人と分けるのは犬の心をタフにするひとつの方法です。飼い主の姿が見えなくてもリラックスしていられるように学習する機会にはなりますから。ただし、それを始めるときに不安を与えてしまうのでは本末転倒です。
具体的には、寝室のドアを閉めて居間に置き去りにするのはいいことではありません。寝室のドアは開けたまま、居間の寝場所に犬を誘導してそこで寝るように言ってきかせます。寝場所に落ち着いたら誉める、寝室に戻ってしまうようなら根気よく居間に連れ戻す。その繰り返しを延々とやる必要があります。「寝るのはここだよ」ということを犬に対してきちんと説明し、ちゃんと理解させるということです。そうすれば犬のほうも納得します。(旅行に連れていくことがあるなら寝場所にクレートを使って慣れさせます)
しつけ・・・じゃないんです、これらのことは。しつけというと人が犬に一方的に教え込むみたいなニュアンスがありますがそうではなく、人と犬の話し合いです。「今夜からこっちで寝てみようね」「えー?なんでー?」「そのほうが心の強い子になれるから」「やだー、さみしいよー」「大丈夫、やってごらん」「いっしょにいたいー」「すぐそばにいるよ、安心していいよ」「でも、さみしいよー」「大丈夫、やってみようね、いい子だね」「・・・うん」。
言葉と仕草を尽くして、相手は感情をもっている生き物なんだということを常に忘れずに接してあげてください。

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