獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200507-67

パトラさんへ
投稿日 2005年7月11日(月)02時22分 投稿者 パールちゃん

くわしく教えてくださってありがとうございます。
獣医さんからお薬が出ていますし見守るようにという指示も出ているので、最初の書き込みのご質問にあった「その時の対処法」については補足程度に書きます。

見守るといっても何もしないわけにはいかない状況ですよね。ひきつけ時には犬自身が自分の状態にすごく驚いて不安と苦しさを両方感じてパニックになりますから、そばにいる人は不安を増長させないように注意したほうがいいと思います。具体的には、後ろから近づかない、急にさわらない、大きな声を出さないなど。視力が落ちているならなおさらです。前方から静かに近づいて「ここにいるよ」ということがわかるように寄り添ってあげてください。ノドから胸にかけてをそっとなでたり、前足を上から下に向けてさすったりしてあげると犬は不安を軽くできます。その間、「よしよし、大丈夫だよ、大丈夫だよ」とやさしく声をかけてあげてください。ひきつけが収まったあとはしばらく犬の背中に手を当てて安静に。犬は人の手の感触を背中で感じるのがいちばん落ち着けるので、そうすることでひきつけの苦しさと不安をショックとして心に残さず安心させてあげられます。
あと、もし、呼吸がうまくできていないような状態、口を半開きにして口角を耳のほうに引きつける表情になったり、鼻先がピクピクしたり、そんな様子が見られたら、手のひらで鼻先を包み込むようにして1〜2秒ほど強制的に呼吸を遮断してみてください。心不全でパニックを起こすと自発的な「吸う・吐く」の呼吸もパニックになって呼吸不全を招くことがあります。そんなときは強制的に呼吸を遮断してやると犬は苦しくてブハッと息を吐きます。それをきっかけに「吸う・吐く」のリズムを取り戻せます。ただし、ほんの短い遮断に限ります。1〜2秒あるいは瞬間的に鼻の穴をふさぐ程度に。それを3回程度やるのが限度です。また、わんちゃんの症状によっては呼吸不全をひどくする逆効果になってしまいますので、かかりつけの獣医さんに呼吸不全のときの対処方法を確認しておくといいと思います。万が一のときの心臓マッサージの方法も。

食餌の内容として書いてくださったなかで気になったのが塩分です。高齢で心臓が弱っている子には塩分が多すぎるのでは?と思いました。エビはボイルしてもかなり塩分が残ります。焼き鳥も洗ったくらいでは染み込んでいるタレの塩分は抜け切りません。ソーセージは人間用のものでしょうか。もしそうならかなりの塩分を含んでいます。塩分ゼロと表示していない肉加工品・乳製品の多くはうまみ=塩分です。心臓の弱い子にとっては避けるほうがいいものです。
でも、「だめです。あげてはいけません」と言うつもりはありません。その味が好きなら、その味に慣れているなら、好きなものを食べさせてあげていいと思います。私も、高齢で弱った子には体に悪いなんてことは無視して好んで食べるものをなんでもあげています。甘〜いカステラやプリンや塩分の多いチーズや消化によくないとされる生卵や。それは寿命を縮める結果になるかもしれませんが、食べたいという意欲がわき、喜んで食べることで、うちの犬たちの晩年はつらく悲しいだけの生活ではないと思っています。

17年目になるシーズーさん、これまで幸せな暮らしをしてきたからご長寿なのでしょうね。心臓が弱ってきたのは加齢による自然なことなので避けようがありません。心臓によいサプリメントは?というご質問がありましたが、はっきり言ってサプリメントに頼るくらいなら食餌の見直しを、という気持ちです。サプリメントは薬ではありませんから効果が目に見えるわけではなく、それが犬にとっていいのかも悪いのかも確証がつかめませんから私はおすすめしません。獣医さんから処方されたお薬で心臓を守りながらおだやかな日々を重ねることをおすすめします。
また、これは書きにくいことですが、お別れに向けての心構えをご家族で話し合っておかれるといいと思います。この先心臓が悪化したら入院させるのか、それともおうちで看護するのか、いざというとき延命措置はどうするのかなど。シーズーさんにとってどうしてあげるのがいちばんいいのかをぜひご家族で話をしてみてください。

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