獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200509-37

水を差すようですがね
投稿日 2005年9月7日(水)23時23分 投稿者 はたの

「ドッグランその他において他のイヌと仲良く遊べるかどうか」において、躾とか社会性の有無とかが関与する範囲はごく小さいものなのです。生まれつきの個性のほうがはるかに大きいと考えて結構です。
 生まれつきの個性しては仲良く遊べるはずだったのに社会性を勉強させそこねてうまくいかなくなる、ケースもむろん皆無ではありません。けれど、かなり限定的なケースです。
 社会性というのは、「ケンカをしない」ではありません。「ケンカをするのならその売りりかた、買い方、逃げ方がわかっているか」、「ケンカをしないのならケンカを売ってると思われずに相手に近づけるか」、であって、「ケンカをするかしないか」はまた別なのです。
 社会性を付与しておこうとするのはいいことなのですが、それをしたのに関わらずケンカっ早くなってしまっても社会性を与え損ねたのではないかと悩む必要はありませんし、ケンカっ早いおよそのイヌをみて、(飼い主が)社会性を持たせられなかったんだ、と判断するのは危険です。
 ハッキリいえば、同じ群れに属さない成犬同士は会えばケンカするか冷戦になるかが「正常」です。会ったとたんに遊ぶのは、「子供っぽさ」を強調して改良された犬種の、しかも限られた例(品種改良の狙いがイヌ本来の習性より強く表れた)といえます。そういうイヌはしかわいいものですけれど、詩文のイヌか他人のイヌか問わず、そうでないイヌを問題視するのはイヌの本質の誤解につながるでしょう。イヌ(に限りませんけれどね)は、昨今の日本人に比べればずっと、殺伐とした世界観を持つ、血腥い、まっとうな生き物なのです。

 歯石。
 鈍感は困りますが、過敏も困ります。
 つくイヌは何をやってもつくし、つかないイヌはつかないものです。なかんでそう違いが出るかといえば、口の中のPHです。酸性ならつきにくく、アルカリ性ならつきやすい。
 手入れは、ちょっと前にパールちゃんが書かれていたように、やりすぎないのが肝心です。

>私の経験上は、1.歯磨きはしない 2.獣医さんでの歯の研磨もしない 3.やわらかな食餌
>ばかりではなく噛んで食べる硬いものを与えて歯と歯茎とアゴをきたえる 4.食後に水を
>飲む習慣をつけさせる これらをすれば若年性の歯周病は防げると思っています。

 これに加えて、数歳以上になって、歯石がつくようになったら、ちょっとついたからといって歯の表面をゴシゴシ削るのではなく、カバッと取れるほど(かつポケットが過度に深くならないほど)歯石がたまったタイミングでスケーリングする(イヌが手の内に入っているのなら、麻酔は要りません。横に寝かせておいてほじるだけです。別の理由で麻酔する機会があれば活用していいのですが)、で、十数歳までの歯周病も防げると考えています。
 繰り返しますが、やりすぎは禁物です。

 なお、本物の骨は、案外危険です。硬いので歯が負けて折れたり割れたりがあります。イヌの歯はあまり強くなく、生きたイノシシの皮膚にかみついて犬歯が折れることさえあるのです。ラムチャップの骨、豚の軟骨ていどにしておくのがよいでしょう。その点、ガムは比較的安全ですが、思いっきりひからびたものはそれなりのリスクもあります。
 与える頻度はさほど気にしなくて構いません。それで肥満になるとか、腹がくちて餌を食べなくなるとかでなければ。
 

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