獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200510-62

ゆうだいさんへ
投稿日 2005年10月20日(木)01時38分 投稿者 パールちゃん

その飼い主さんとはどの程度の関係ですか? 顔を合わせてもまったく挨拶もしない・会えば会釈する程度・立ち話くらいはする・兄弟犬の飼い主同士という親しさがある等々。どうするのがいいのかにはゆうだいさんとその人との関係が影響してくると思います。
知らぬ仲でないなら会う機会を作って「最近、○○ちゃん(その犬の名前)ちょっと元気がないんじゃないですか?」など、状況改善が必要なニュアンスを込めてさりげなく話を切り出してみたらどうでしょうか。一方的に「そんな飼い方はかわいそうだよ」みたいな価値観を押しつけてしまうと相手も不快になりますから、なぜそんな飼い方をしているのかをうまく聞いてみる話術は必要だと思います。
犬なんてこれでいいんだと思っているのか、犬なんていらないけど生きているうちはしかたないと思って生かしているのか、それとも犬のことになんにも考えがないか、その人がどう思っているのかにもよりますが、ゆうだいさんが何か言うことによって「そんなこと言われるならもうこの犬はいらない」という方向に行ってしまう可能性があることも頭の隅に置いておいてくださいね。「じゃ、あなた世話してくれますか?」や「あなた、引き取ってくれませんか?」のような話にもしなったとき、ゆうだいさんはどうしますか? そういう場合のことも考えておいてくださいね。

私もゆうだいさんと同じような立場になったことがあり、5年間、餌と水と散歩のために近所の犬のところに通いました。その犬は個人宅の犬ではなくある会社で飼われていたので誰が飼い主という特定の人はいませんでした。
最初のうちはこっそり通っていましたが、そのうち知られるようになり、「あ、いつもすみません」などと言われるたびに「いえいえ、私、犬が好きなので」などとテキトーな返事をしていましたが腹のなかでは「おいおい、もう少しまともに飼えよ」と思っていました。でもなかなかそれを口にできませんでした。その犬は会社の夜間番犬の役をしていましたから会社としてはいちおう必要があってそこにいさせていたのです。必要とされている点だけその犬は幸せでしたが、世話をしてもらったりかわいがってもらったりという点では不幸でした。
正式に「世話をさせてください」と話したわけではないですが、会社から黙認される形で餌やりと水の交換と散歩と犬小屋回りの掃除と毎晩30分ほどのスキンシップを5年間続けました。そして台風の暴風雨でその犬が死にそうな目に遭ったのを契機についに「この犬を引き取らせてください」と会社に正式に話をしました。会社はあっさりと応じてくれました。私が通い続けたせいですっかり性格が丸くなりその犬が番犬として役に立たなくなってしまったせいだと思います(苦笑) 役に立たない番犬はお役御免で「飼ってくれるならありがたい」の一言でその犬は我が家の犬になりました。
我が家にきてからもう7年、今、その犬はソファの上で手足を伸ばしてすやすや寝ています。過去の不幸はすべて忘れたようにおだやかに寝ている姿を見ると、私は無責任で中途半端だった5年間を反省します。もっと早くこの子に幸せをあげるべきだったなと。

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