投稿日 2005年12月29日(木)23時15分 投稿者 はたの
「咬む」事故事例の中に、「早すぎる母親・兄弟からの引き離し」が背景となっているものがあるのはおそらく確かでしょう。 パピークラスや適期の販売、もっといえば、子犬だけを展示販売することの是正はもちろん望まれることです。
しかし、それだけではありません。イヌの攻撃性については、それなりに研究はあるものの、ベースとなる大枠の構造的な理論構築が遅れており、いまのところ世界的にも見るべきものがありません。羅列的な仕事はありますけれど・・・
ですから全体をコンパクトに説明するのは難しいのですが。 ひとつ確実に言えるのは、現在の日本の多くの飼い主が期待する「よそのイヌとケンカせずに遊ぶイヌ」というのは、「異常」なのです。 また、(きれいに分類できるというより程度問題ですが)「闘争系」の攻撃と「捕食系」の攻撃の間には大きさな差異があります。子犬の頃の経験が意味を持つのは、「闘争系」でかつ軽度な場合のみです。「そこまでやるつもりじゃなかったのに」にもあり得ますが、体格差とそれをうまく自覚できないことから思わぬダメージを与えてしまうこともありますし、「わかってて」殺し合いすることもあり得ますし、「補食系」のスイッチが間違って入ってしまうこともあります。
イヌをコントロールするメソッドはいろいろありますが、「ほめてしつける」のが良い、というのは幻想です。むろん、「抑えつければそれでいい」でもありません。塩梅とか差し加減とか、ケースごとの適否とかあるわけでして、根本を探るかどうかと、それに対してどういう方略をとるかは別なのです。
攻撃行動について何が遠因かは簡単にわかるものでもありませんし、簡単にわかったつもりになるべきことでもありません。 「今の」「多くの日本人にとっての」モラルをイヌは共有していませんし、共有したことはありませんし、共有するようになる見込みもありません。世界観が違うのです。 それを押さえておかないと、販売時期の問題、パピークラス、ほめてしつけるなどの持つ意味もまた歪んできてしまうことでしょう。
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