イヌ掲示板過去発言No.1100-200602-196
マウンティング |
投稿日 2006年2月22日(水)23時28分 投稿者 はたの
きゃべつさんもケリーズハウスさんも誤解しておられるように思います。 けれーずはうすさんのご意見は、行動修正の初歩としては全く正しいのですけれど、実は、問題は、「個々の行動に継ぎあてするように対応する」ことでは解決しないのです。根は「関係性」にあります。いろいろな手練手管を駆使しなければならない「関係性」であることが根っこであって、そうである限り、個々の行動を修正してもあかんのです。 狙うべきは、イヌが、「マウンティングなんてする気がおきません、恐れ多くて」という関係を気づくことです。その上で、「あえて」マウンティングを許可する、のです。 まずはヒエラルキーの角度をきつくせよ、です。 ただ、角度がきついままですと、群は分裂します。野生と違って物理的に分裂し得ない飼育下ですと別種の問題行動を起こします。 よって、「ガス抜き」を設定します。イヌ同士でも、優位個体が意図的に劣位のシグナルを発して、劣位個体を励ましながら遊びに誘うように・・・。 ではどうやって関係性を築くかですが、これは現場を見ないと具体的にはなんともいえません。一般論でいうなら、普段は優しく、けれど、「Noと言ったのにあえて挑戦的に逆らったらおっかなく」ということになります。おしっこちびらせるぐらいおっかなく。 そのかわり、ふだんはニコニコ、いけないことをする前に低く「No」。ベースが威圧的になれたのなら、日常ではそのプレスを和らげることに主眼を置く、と。 個々の行動ベースの改変を積み上げて関係性を変えることも不可能ではないのですが、少なくとも飼い主には、「問題は個々の行動ではなく関係性である。関係性を変えるための【手段として】に個々の行動を修正している」という自覚が必要ですし、アドバイスする側には、明示的か暗示的かはともかく、そのことについてのメタな自覚があってほしいと思います。 >けりーずはうすさん あっちではあえて書きませんでしたが、首輪をきつく設定するか緩く設定するかも、簡単に決められることではありません。オンリードの制御ツールとしての機能としてどうか、という視点と、逸出した後の標識としてどうか、というのは別の枠組みであり、時に相反します。 後者でラフに考えるならば、「首輪をつけているがために、首輪がヤブなどで引っかかって動けなくなって死亡する」リスクが大きいのか、「首輪をなくして身元確認ができずに殺処分される」リスクが大きいのか、といったあたりから考えなければなりません。そして、そうした、逸出後の【トータルなリスク】と、オンリードのコントロール装置としての得失とを再度比較しなくてはなりません。 ボランティアとして不特定多数相手に書き込んでくださる意欲のある(おそらくはお若い)獣医師の存在は大変貴重なものですが、願わくば、もう少し広く深くご考察なされんことを。
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