獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200602-42

無理やりひっくり返すことについて
投稿日 2006年2月4日(土)17時25分 投稿者 海が好き

けりーずはうす先生

 私も初めの子のときは「無理やりひっくり返したり、マズルコントロールして上下を分からせる」というしつけ本に従っていたのですが、結果、極端に人間の手を怖がる子にしてしまいました。その後、トレーナーさんの紹介で、イアン・ダンバーの本とか、ジーン・ドナルドソンの「ザ・カルチャークラッシュ」といった本を読んで、最近は「権勢症候群」もしくは「犬は人との間にも上下関係を意識して行動している」といった考え方に否定的な立場のトレーニング法をとる人も増えているということを知りました。上下を植えつけるというのではなく、「飼い主にとって望ましい行動を学習させ、強化する」という考え方です。食事前のスワレやマテについていえば、「上下を分からせるため」ではなく、「スワレと言われたら座る犬にするため」という考え方です。

 どちらが正しいのかというのは私には分かりません。あるいは「犬種もしくは個体によって違う」のかもしれませんし、飼い主によっても違うのかもしれません。ただ、非力な飼い主(特に女性や子供)がやるトレーニング方法として無理やりひっくり返すというのは、あまり適当でないような気がします。仮に効果があるとしても、途中でもがいて逃げられたら意味がないでしょうし、効果そのものについてもダンバーなどは「子犬を怖がらせたり、脅かしたりする以外、何の意味もない」とまで書いていますし。

 ちなみに下の子は、性格的にもガキ大将タイプで、なおかつ「権勢症候群の犬を作る」とされていることを一通りやっていますが、別にコマンドに従わないということはありませんし、どこを触られても平気な犬、つまり権勢症候群とは全くかけ離れた犬に育っています。
具体的には、
 ・食事は人間より先にさせる
 ・ソファにも上がらせる(別に困らないので)
 ・一緒に寝てもいる(衛生的な話はおいといて)
 ・ドアを出るときも人より先に出している(交通事故の危険がない場所のみ)
その代わりにやっていることは、「おとなしく落ち着いているなど望ましい行動をしたら褒める」「要求ぼえには従わない」「一度出したコマンドには必ず従わせる」などです。

 こうした個人的な体験から、私は「犬を下位にしようと意識するより、犬に何をさせたいか&させたくないかを意識すべきである」と思っています。理論的にどうなのかはさておき、その方が「上下、上下」と必死になっていたときよりも、精神的にゆとりをもって犬に接することができるようになったのは確かです。

 このあたり、諸説あるのでしょうし、博識なはたのさんあたりに解説していただけると有難いのですが、とりあえずご参考まで。

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