イヌ掲示板過去発言No.1100-200602-53
無理やりひっくり返すことについて |
投稿日 2006年2月5日(日)10時43分 投稿者 はたの
まずは一般論。 「権勢症候群」も「ほめてしつける」も、(当初はともかく広まったのは)「ビジネスとして」という側面があることを知っておく必要があります。不安を煽る→特別な解決法を案内する、という不安商法のパターンによく似ています。 また、「異なった方法論」というわけでも、統一的に見ることが可能です。推奨されるやり方だけ見れば180度異なるように見えますが、深いところではつながっており、「どの側面を強調するか」の温度差の違いなのです。 本当のアルファシンドロームのイヌは、現在の日本には滅多にいません。アルファには徒従属だが、ベータ以下の地位を狙う権勢症候群のイヌも、そんなに多くはありません。 ほめてしつける方法論でも、「イヌにとってはイヤ」で「見ている素人の飼い主にわかりにくいこと」は使われています。トレーナー自身が無自覚ということもありますが・・・ 今回の例だと、攻撃的になる時のイヌの「了見」が問題となります。仮に順位を巡る争いだとしても、「優位を確信していて、次男さんを劣位と見なしている」のと「順位を争うライバル視している」のとでは異なります。ただ、これらはどちらも、イヌが性成熟する頃に激烈になる傾向があります。また、幼い頃の群内順位が性成熟後の順位に影響することはなさそうだ、というのが現時点の通説でしょう。 イヌの若さを考えると、「単に遊んでいるだけで少し加減が判らない」という可能性も大いにあります。ギャングエイジの子供ががさつなのと同じですね。この場合でしたら、無理矢理ひっくり返して押さえつけるのは逆効果です。「痛い!」「怖い!」といって離れ、数分間かまわない、というのがよいのです。「イヌが勝ったと思って増長する」ことはありません。「乱暴しすぎた」と学習します。 無理矢理でなく、遊びの中でひっくり返してごろごろする、のは大いに勧められます。あくまでも楽しい気分の中で、です。 無理矢理ひっくり返して押さえつける方法には利点と欠点があります。利点としては結果が早いこと。欠点としては、行う側に危険であり、やるからには確実に成功させなくてはならないこと、順位争いの対象者(この場合は次男さん)がやらないと効果がないこと、などがあります。 私自身は、必要を感じれば、「自分の手でマズルを押さえられる大きさのイヌ(ラブ・ゴールデンがぎりぎり、バーニーズならやらない)」にまでは行いますが、よそ様に勧めるつもりはありません。マズルを下向きに加圧しながら持つ、遠い側にある前足を近い河の前足の後ろから手をのばして引っ張ってひっくり返す、間髪を入れずイヌの肩に(窮鼠猫を噛む的な反撃を招くほど重すぎず、効果がないほど軽すぎない)体重を掛け、足を握った手を放して首筋から後頭部にかけての皮膚と首輪を一緒に掴む、場合によってはヒトので足でイヌが腰を起こそうとするのを妨害する・・・イヌが抵抗を諦めたと判断したら解放し、イヌが確実に従う、かつある程度従属的な行動(過度に従属的な行動を求めて従ってくれなかったら、もう一回格闘しなくちゃなりません)を指示して行わせ、うんとほめる・・・いささか大変なんです。 現実的には、楽しいひっくり返し、スワレ・フセなどの従属的な行動を餌で釣ってでもよいから即座に反応するよう教える(イヌが、「従属を強いられた」と実感する必要はありません)、唸ったり噛んだりという雰囲気になったら無視する、また、次男さんにも行動の抑制を求める、といった組み合わせが妥当だろうと思います。 実は、言葉がわかる次男さん相手の最後の方法が一番ラクかもしれません。 イヌから尊敬されるためには、小手先でイヌの行動をいじくるよりも、イヌに尊敬されうる威厳を持った人間になるのが早道だったりします。とりあえずははしゃがない、自分の気分でなくイヌの気持ちを考えて動く、といったところでしょうか。
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