毎日たっぷり野山を駆け回っているような犬なら9歳でもまだそれほど衰えはありませんが、そういう環境にはない家庭犬にとって9歳という年齢はあちこちに老化の兆しが現れるころです。寒さがつらい、体が冷えてしかたない、視力や聴力が落ちてきて不安にかられる、排泄のリズムが乱れておなかがすっきりしない等々の理由からゆっくり眠ることができずイライラして吠えてしまうのかもしれませんね。
また、吠えるたびに顔を出したり食べ物をあげたりすれば犬は「吠えればいいことがある」と学習しますから、吠えるのをやめさせるため顔を出したり食べ物をあげたりしていたはずがかえって逆の結果になってしまっていますね。どんどん吠えなさい、いつでも吠えなさい、犬にそう覚えさせることになっているのですね。
どんなに鳴いても無視して「だめだ、吠えても来てくれないや」と犬にあきらめさせる練習をするのもいいですが、それには長期間かかりますから近所迷惑が増しますし、老齢に入りつつある犬に今さら「あきらめ」を理解させるのは酷なことだと思います。
いちばんいいのはもっと人の近くに移すことですね。さみしくなく、寒さ暑さがなく居心地よく、なんの不安もない場所、そういうところへの移動です。移されたストレスから最初は吠えたり落ち着きがなかったりするかもしれませんがやがて慣れるでしょう。