社会化期に広い世界を見なかった犬は飼い主の緊張に敏感になります。安全なのか危険なのか、警戒すべきか安心すべきか、それを自分で判断した経験が不足しているため、飼い主の様子をうかがうことで自分はどうすべきかを判断するようになってしまいます。
おそらく、わんこら犬さん自身が散歩中リラックスしていないのでしょう。人や犬がこないか気にして視線を配ったり、人や犬が見えたときに歩くリズムが変わったり、人や犬が近づいたときに無意識にリードを強く引いたり、なにげなしにそれらをしていませんか? それが「警戒しろ、きたぞ、さあ吠えろ」の合図だと犬は学習してしまっているんだと思います。リードから伝わってくる飼い主の緊張に同調してしまうんでしょう。ホームセンターのカートで吠えないのはリードでコントロールされていないからでしょう。
来客時も同じだと思います。飼い主がリラックスしていれば吠えないけれど少しでも飼い主に緊張があると吠えてしまうんだと思います。

飼い主がリラックスするのが解決策ではないでしょうか。吠えたら困るなあと思わずに、楽しく散歩に出かけるのがいちばんだと思うのですが。もし吠え出しても、声をかけたり、お座り・待てとコマンドを入れたりせず、一定の速度でそのまま歩く、ご近所の人と会っても「ごめんなさい、吠えない練習してるからこのまま行くわ」と言って立ち話はしない、歩くリズムと気分を一定にしてリードの引きも一定にして、犬の気持ちを乱さないようにしてみてはどうでしょう。飼い主の態度次第です。吠えなくてもいいんだなとわかるようになりますよ。
吠えたときにコマンド入れておやつをあげたら、それは「よし、よく吠えたね、偉いね」と誉めていることになってしまいますから、吠えたときの声かけ・おやつは厳禁です。

人が嫌いなわけでも犬が嫌いなわけでもなく、また無駄に吠えているわけでもなく、飼い主が［気配とリードを通して］吠えろと言うから吠えている、そういうことだと思いますよ。忠実で賢い、いい子だということです。

お散歩デビューのとき見知らぬ親子に乱雑に扱われたのはいいことなんですよ。腹を立てちゃいけません。広い世界を知るには怖い思いをしたり嫌な思いをしたりが必要ですから。今からでも遅くありません。少しずつでいいので、友好的で温和な犬に近づいてみたり、犬の扱いがわかっている人にさわってもらったりして、社会勉強させてあげてください。