獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200709-26

Re:チワワの避妊手術について
投稿日 2007年9月6日(木)11時12分 投稿者 プロキオン

なおさんの御心配の「体重が少ないので危険ではないか」という問題は、麻酔に関してで言えば避けることのできる問題です。

猫についてであれば、2キロなくても避妊・去勢の依頼はあります。これは、脳の方の呼吸中枢がしっかりしてきている月齢や年齢に到達していれば、問題とはなりません。
体重が少ないというのは、1つの意味からでは充分に発育しているか否かにすぎません。

別のある意味、すなわち麻酔薬は体重に該当する用量だけでなく、ある程度の量がないと薬効を発現しにくいという問題があります。
これは、体重が少なすぎると体重相応の量では麻酔効果が発現しにくいので、若干多めに必要となるというように解釈することができます。導入麻酔を施す際に獣医師が緊張するのはこのようなケースですね。

しかし、私が兄弟子にこの手の質問をしたときに「何を言っているんだ、麻酔薬用量なんか1頭1頭違うに決まっているではないか」と言われてしまいました。1キロに0,1ミリというように頭から決めていることが事故に繋がるんだということですね。麻酔に強くて0,1では足りない犬もいます、ごく普通に。そして、実際に私の患者のある柴犬は三分の一の量で効果が出てしまいます。通常の量を用いると心臓や呼吸の抑制が生じてしまいます。つまり、この麻酔に弱い柴犬は事情を知らない別の先生が体重からの換算だけで麻酔を施すとものすごく危険なのです。
主治医である私にしても、最初も麻酔の時には、本当に驚きました。でもね、患者の顔色見ながらであれば、麻酔に導入できた時点で、それ以上の投与は必要なくなるのです。

そして、実際には、麻酔薬そのものよりも同時に用いられる鎮静剤選択に要因としては大きなものがあります。

麻酔薬が恐いと言って心配される飼い主さんの場合には、鎮静剤だけを投与して、比較絵的安全と言われているガス麻酔薬で時間をかけて導入するという先生もおられます。こちらの場合は、注射麻酔で導入するよりも時間を必要としますので、麻酔効果でるまでのその間のことを認識していることとなります。

麻酔でおきる事故というのは、個々の体質に由来していますので、体重の多い少ないとは別の問題と言えます。先にあげた柴犬のように13キロあっても危険な子は危険なのです。体重が少ないというのは、麻酔をかけにくいということはあっても危険とは別の問題であると考えています。
1頭1頭患者の顔色を見ながらということにつきると思います。

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