ネコ掲示板過去発言No.1200-199807-8
MIKIさんへ |
投稿日 1998年7月6日(月)10時38分 寝子
想像もできない結末があまりにも突然訪れて、信じられない気持ちと共に、でも現実の時間はどんどん流れていく…MIKIさんのお気持ちがすごくよくわかります。 私の知り合いの家でも麻酔による死亡事故がありました。 そこの主治医の先生も実に良くやってくださる方で、事前の血液検査等すべてのチェックを行い万全を期しての体制でしたが、もともと体質的に歯が弱い猫ちゃんの歯石を取ってもらうための麻酔でかえらぬ命になってしまいました。 飼い主さんはその道では有名なブリーダーさんで、その死んでしまった猫は非常に良い子猫を造り出していた働き盛りの男の子でした。命に差があるわけではないですが、その飼い主さんにしてみれば普通のペット以上の存在の猫だったわけです。飼い主さんと先生は強い信頼関係に結ばれていたので、何回か話し合いを持ちましたがそれ以上先生を責めることなく、今もすべての猫の管理をお願いしているそうです。 MIKIさんも、そちらの先生を信頼されている様子で、少し安心しました。 もしここで、人間関係までおかしくなってしまったら、もっと辛い気持ちになると思うからです。 それから、突然のことで動転してしまった先生にもお悔やみを申し上げたいです。 多分先生は出来る限りの手を尽くしてくださったと思います。 「意見交換」の方で、亡くなった猫ちゃんがスコティシュフォールドで、折れ耳同士の交配から産まれた子だと知りました。 実はこれは非常に問題です。 マンクスというしっぽが全くない猫のことをご存じですか? イギリスのマン島に多く生息している非常に不思議な、しっぽがあるべき場所がくぼんでえぐれてしまっている特殊な猫です。この猫は致死遺伝子を持っていることでも有名です。しっぽのないもの同士を交配すると非常に高い確率で、死産になったり、流産になったり、生まれたとしても内部・外部奇形があったり…無事五体満足に見えても、数ヶ月で原因不明で死んでしまうことが多々ある…というように繁殖の難しい猫種です。 ブリーディングする場合は、必ずしっぽのない子と、ある子をかけなければいけません。それでも他の猫種のお産に比べるとはるかに高い確率で何らかのトラブルが発生します。 MIKIさんは、もう1年以上スコティシュを飼われているのだし、そこに「折れ耳同士の交配だったので…」と書かれていますから、ご存じだとは思いますが、スコティシュにもマンクスと同じような致死遺伝子が存在します。 折れ耳同士を交配すると、やはり同じようにトラブルが発生するのです。 スコティシュはその愛らしい姿形と、性格のよさから非常に人気が高く、繁殖をされる方も増えてきました。しかし、ほとんどの方は、そのような遺伝的なことを知らないか、知ろうとしないで繁殖を繰り返しています。 キャットショーに出てくるスコティシュの審査をするときは、まずそのタイプよりも、しっぽが曲がっていないか、胸の骨は正常か、足の骨が湾曲していないか、あばらは?…という風に外から見てわかるところが正常であるかどうかを確かめます。これは異常なことなのです。本来はその猫のタイプを審査すべきジャッジが、もちろんどの猫種でも尾の異常や、睾丸が正常かは調べますが、それ以上に神経を使って奇形があるかないかを調べて、問題がないことを確認してはじめて通常の審査に取りかかるなんて… それだけ問題のあるスコティシュが多いということです。本当に審査していると約8割のスコティシュに異常が見られて、不安にさせられます。 果たして飼い主さんは、ブリーダーさんは、この猫の異常に気がついているのだろうか?と。もし気づかないまま繁殖に使ったら、その子猫は?と。 まりもさんや、SHOWさんはきっとドッグショーに行かれるだろうから、そこでも同じように問題になる犬種がいることをご存じでしょう。 今回の事故にこのような遺伝的な問題が関係しているかどうか、私には断定することは出来ませんが、もしかしたら何らかの、目に見えない異常を抱えていたかも知れない可能性は否定はできません。 これは飼われた飼い主さんの責任でも、ましてや猫ちゃんの罪でもなく、ブリーダーの責任なのです。 たとえ幾ばくか、ワクチン代金だけであったとしても、お金と引き替えに子猫を渡すのであれば、それはブリーディングを行ったことだと私は考えています。 ブリーダーはそこにかかる責任、新しい生命を誕生させると言うことと、それを人に託す事についてもっと真剣に取り組むべきです。 うちの可愛い○○ちゃんの子猫がどうしてもみたくて…それは結構、でもその子猫を人に渡すのであれば、繁殖すると言うことの意味の深さをもっと真剣に考え、それに伴う責任と、対処できるだけの知識を身につける必要があるのではないでしょうか? 少し話がそれてしまったことと、相変わらずの長文、お許しくださいね。 MIKIさん、心の整理をつけるにはこれからかなりの時間が必要でしょうね。 偉そうなことを書いて、「じゃあお前はどうだ?」と問いかけられると、返答に困ってしまいますが、私は自分の出来る範囲で、これからもブリーディングというものと、ブリーダーというものに取り組んでいきたいし、こういう発言できる場があれば、どんどん、ブリーダーの意識というものについて問いかけていきたいと思っています。 だからこれから猫を飼う人、今飼っている人ももっと情報に敏感になってください。 自分と関わりを持った猫のことだけでもかまわないから、知ろうと努力してください。 もしかして、これを読んだ他にスコティシュを飼われている方が不安を覚えるかも知れません。 マンクス・キムリック・スコティシュフォールド、そして遺伝学的にまだ解明されていないマンチキン(ダックスフンドのように足の短い猫です)を繁殖されている方、どうかもう一度ご自分の繁殖計画に問題がないか考えてみてください。 注:今のところアメリカンカールについては致死遺伝子はないとされていますが、私にはそれ以上のことはわかりません。やはり身体の一部が通常とは異なるのですから、何らかの遺伝子が働いていると思いますから… |
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