ネコ掲示板過去発言No.1200-200407-7
RE:カリシウイルス感染症 |
投稿日 2004年6月5日(土)12時34分 投稿者 プロキオン
6月4日の もーたさんへ 簡単に言えば、「子供の頃の再発」ではないでしょう。再度罹患したと 考えるべきです。 カリシウイルスは、鼻気管炎のヘルペスウイルスとは異なり、神経組織 に逃げ込んで体内に長く留まるというタイプのウイルスではないはずで す。混合ワクチンの中でいっしょに取り扱われるので、説明がいしょに なってしまっているのではないでしょうか? また、それよりも大切なことは、どちらのウイルスも粘膜が侵入経路で あって、その粘膜へはワクチンで付与できる免疫のイミュノグロブリン のigGは分布しにくいという特徴があります。 つまり、猫の混合ワクチンは、「感染の阻止」ではなく、「全身症状を 軽くする」目的のワクチンなのです。 ワクチン接種してある猫でも感染することはありますし、まして時間が 経過していれば、再度の感染は不思議ではありません。 >回復後のウィルスの潜伏については共通の記述があるのですが、 回復した猫には免疫ができ、 ●再発は無い ●免疫の低下によって再発もあり というふた通りの見解が述べられていたのです。 どちらが正しいのでしょうか? こちらは、ワクチン免疫ではなく、「自然獲得免疫」についてでしょう か? 自然獲得免疫については、「終生免疫」が成立するかの受け取られるこ とがありますが、こちらも誤解が多いです。 本来的には「終生免疫」はないのでしょう。疾病の原因となる病原体が 相当に駆逐されてしまって再度の接触の機会がないか、あるいは逆に、 常時病原体に接触していれば、免疫が下がらないので、見かけの上で免 疫が持続しているかのように受け取れるということだと思います。 自然獲得免疫も、どのような疾病にどのくらい重度に罹患したかで、個 体が獲得した免疫の量が異なります。 高い抗体価を得る事ができた個体であれば、人間よりも短い寿命の中で は「終生免疫」と呼ぶのに近い現象がおきることは考えられますよ。 回復後の「再発はない」「再発はある」のどちらも、本人が獲得した免 疫の量によって、ありえることと言えます。 どちらが正しいではなく、「どちらも間違っていない」ということなの です。 ただし、表記のカリシウイルスについて言えば、「再発はない」という 言葉に個人的には、不適切の感がります。 このウイルスについては、ワクチン接種から日時が経過していないにも かかわらず、罹患してしまった症例がありまして(私のところだけでな く、別にも)、ワクチン免疫に疑問を感じていたことがあります。 昨今、あるワクチンメーカーから、カリシウイルスだけで3種類の異な るウイルス株を使用したワクチンが開発されました。 これは、どういう意味かと言うと、野外に存在するカリシウイルスの株 が多数存在しており、ワクチンに使用しているウイルス株が1種類では ワクチンがその目的を充分にはたすことができない恐れがあるというこ とになります。 メーカーが、必要性と需要を感じて、新たに開発製造したということで あれば、実際問題として、ワクチン済みの個体での感染や一度罹患した にもかかわらず再感染した例の報告というかクレームがメーカーにもそ れなりの数が届いていたということになるではないでしょうか? |
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