ネコ掲示板過去発言No.1200-200801-39
Re:糸 |
投稿日 2007年12月21日(金)10時50分 投稿者 プロキオン
異物の誤飲でいちばんやっかいなものが「糸」です。 短くて、どこにもひっかからなかたりするくらいであればよいのですが、どこかにでもひっかかると厄介です。 指に糸を巻きつけて、キュッと引っ張ると痛いですよね。同じことが時間をかけておきてくることになります。消化管を糸が縫い縮めて粘膜が切られていくという状態です。 そして、それは短時間に発生することではなく、ゆっくりと進行するので、特別な異常は状態が悪くなってこない限り現れません。レントゲンにも異物としては写ってきませんし、造影剤を使用しても相当に読影はむずかしいです。 つまり、糸の所在が確定できないので、うかつにお腹を開くことができないのです。試みに開いてもどこの部位で消化管にメスを入れてよいのか苦慮することになります。内視鏡も胃の中や直腸あたりであればとは思いますが、そこに無ければ、同じことになります。 糸も短ければ、どこかにひっかかるということも殆どありませんし、多くの場合で悪戯せずに排泄されます。長くても丸まった状態でいてくれれば、柔らかいものですから負傷しなくて済むのですが、一旦解けてどこかにひっかかるとどうしようもありません。 無事に排泄されるのを祈るしかないです。 また、このような糸(紐状異物)による消化管の傷害は、半年から2〜3年くらいの時間がかかって起きてきますし、なんとなく食欲が落ちてきたというような症状からです。 めったに起きることではないとか、起こりえるとかという問題ではなく、ゆっくりと進行することなので、何が起きているのかという病状をきわめて把握しがたいということになります。それこそが問題なのです。
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