獣医師広報板ニュース

ハムスター・リスなど齧歯類掲示板過去発言No.1300-200304-126

時がくれた贈り物
投稿日 2003年4月28日(月)12時12分 プロキオン

>ななえさん

鈴菜ちゃんは、旅立たれたのですね。

実は、私も「ぐーご」というキャンベルブラックを同じ病気で亡くしています。
陰部の出血に気がついて2日後には即手術の運びになりましたが、「ぐーご」
は、その手術中に力つきました。
この疾病は、卵巣における卵胞嚢腫が誘因であって、こちらからのエストロジ
ェンの作用で子宮粘膜が増殖し、そこから持続性に出血を続けるものです。
一般的には「子宮蓄膿症」と同一に扱われてしまうのですが、根本的に違うの
は、子宮蓄膿症程致命的ではない点です。月単位での余命が期待できるところ
です。

根治的な治療というのは、卵巣と子宮の摘出になるのですが、私の場合、これ
を目指したために、かえって本人の命を縮めてしまいました。
「ぐーご」は次女の担当で、彼女は、私が「ぐーご」を助けてくれるものと信
じて始めから手術に立ち会っていました。当時に次女は保育園生でした。
その次女も眼前で、私は「ぐーご」を死なせてしまいました。助けることがで
きなかったのです。
普通の飼い主であれば、執刀した獣医師を恨むことができたのですが、私や次
女には、そのようなこともできませんでした。「ぐーご」を埋葬した場所にお
線香をいっぱい立ててお別れをしましたが、夜の暗闇の中でおりからの風にあ
おられて線香の小さな光が、いっぱい瞬きました。次女は、「まるでお星様み
たい!」と小さくつぶやき、私は自分の力のなさが悲しかったです。

それ故、私はななえさんのところの鈴菜ちゃんのことを こちらの掲示板で見
聞きしていても、声をかけるのが躊躇われました。なにが最善の方法なのか、
自信がなかったからです。
でも、やはり伝えなくてはならないこともあります。それは、長女のことです。
ことの一部始終を見ていた長女のことです。

長女は、私の誕生日の朝に1通の手紙をくれました。「お父さん、病院で見て
ね、それまであけちゃだめだよ」と付け加えました。
それは、手紙と言うよりは絵でした。描かれていたのは、「ぐり」「ちびすけ
」「くろちー」そして「ぐーご」でした。今まで、我が家で亡くなったハムス
ター達が、みんなで「ありがとう」と言って、私に向かって頭をさげている絵
でした。
長女は、次女以上にハムスターが好きな子でした。長女には、父親と妹の姿を
見て、自分が何をしなくてはいけないのかが理解できたみたいでした。本当に
やさしい娘に育ってくれたと思いました。亡くなったハムスター達も良い友だ
ちであってくれたようです。

ななえさんは、こちらのお世話係りさんです。うれしい話だけでなく、悲しい
話もまた多く話題となります。
ハムスターを通して、人と人の繋がりがここにはあります。その中心となるな
なえさんには、早く元気なって欲しいので、私を励ましてくれた娘の絵のこと
をお話しました。当時の長女は小学校2年生でした。

ハムスター達との出合いも別れも、喜びも悲しみも、それは時がくれたもの。
そして、それを乗り越えるものも また時は用意してくれているようです。
私の場合、それは娘の成長とそのやさしさでした。

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