獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-200002-49

膝の骨がはずれたかたへ
投稿日 2000年2月21日(月)17時34分 播谷久美子

こんにちは 獣医師の播谷というものです。
ウサギの膝蓋骨脱臼についてですが 私の病院では 昨年 と一昨年に1例ずつ 2例診ています。いずれも5ヶ月齢の若いウサギで 内方脱臼でした。1例は飼い主の方の希望で手術し うまくいきましたが もう1例は手術を希望されずにそのまま様子を見ることになりました。
 膝蓋骨脱臼はおおきくわけて 内方脱臼と外方脱臼があり イヌでは 珍しい疾患ではありません。このうち 外方脱臼は おもに外傷性に発生します。内方脱臼は 外傷性の場合もありますが ほとんどは 先天的に 膝蓋骨をいれる滑車溝が浅い 膝蓋靱帯の付着部が内方にずれている 等の膝の異常があっておきてきます。
 私が経験したウサギは いずれも若齢で 内方脱臼でしたので うまれつき 膝の作りに若干の問題があったものが ケージから出る際などに足をひねったりして 顕在化してきたものと思われました。
 ウサギは 大腿部の筋肉が非常に厚く発達し また 普通の姿勢で膝を深く屈曲させた状態でいるために いったん 膝蓋骨が内方に脱臼すると 筋肉にひっぱられて上方に移動し 外からさわってもとにもどしても すぐまたはずれてしまいます。
 手術は イヌの膝の手術に習熟した獣医師ならば けっしてむずかしいものではありません。
 ただし この疾患はほっておいて 命にかかわる病気ではありません。ご相談のかたのウサギさんが 内方脱臼である場合 (外傷性の外方脱臼の場合は イヌでは外傷がなおると 脱臼ももとにもどることがあるのですが )は 自然治癒はのぞめませんが これがもとで死んでしまう心配もないのです。
 また 脱臼後時間がたってしまっていたり 膝の奇形が重度だったり 術後の安静がまもれなかったり した場合は再発する危険性もあります。
 私の患者さんも 手術したほうの方は ウサギがわかいので 未来がながいからと手術を希望され 希望されなかった方は 手術にあたって少しでもリスクがあるならやりたくない とご自分で決めました。
 ご参考になったかどうかわかりませんが 主治医の先生とよくご相談されて どうするかおきめになったらいかがでしょうか。

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