獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-200506-113

野うさぎ
投稿日 2005年6月22日(水)11時25分 投稿者 プロキオン

ちょっと、厳しい意見になりますので、この掲示板の雰囲気を壊してし
まって済みません。先に謝っておきます。

昨晩、学校飼育動物についての獣医師会の集まりがありまして、野うさ
ぎの飼育についてある先生から、指摘がありました。

まず、野うさぎは野生動物であって、家ウサギとは、姿形が似ていても
異なる別の生物です。
妊娠期間も倍近く長いですし、産子数もずっと少ないです。目もあいて
おり、皮毛も生まれたときからありますし、分娩直後から母ウサギにつ
いて歩きます。
特定の巣穴をつくりません。草むらの窪地で子供を生み、その子供は生
まれ落ちるとすぐにお母さんに連れられて、安全なところへ身を潜めて
暮らします。
外敵が近付くと、お母さんは外敵の注意をそらし、赤ちゃんウサギはジ
ッと息を殺して外敵がどこかへ去るのを待っています。この時の赤ちゃ
んは人間が近付いても逃げません。「ジッと動かないでいる」ことが、
お母さんや本能の指事だからです。

この時の赤ちゃんウサギを人間がお母さんから奪って来ないように自然
保護団体では、だいたいの団体が「野生動物の赤ちゃんを連れ去らない
で」という誘拐防止キャンペーンを実施しています。
何も知らない者が母ウサギがいないので、仕方なく連れ帰ったという行
為が、実際には大変問題のある行為であることを知って欲しいからです
。狐や野犬に襲われたのであれば、それはそれで自然のサイクルとなり
えますが、そこまでも行かない自然から切り離された行為であることを
知らなくてはなりません。
母ウサギは必ず近くにいたはずなのです、人間が恐くてどうすることも
できずに自らも息を潜めていたというのが実態なのだと思います。

野うさぎは、狩猟対象鳥獣となりますが、これも期間、捕獲方法が定め
られた以外の方法で、あれば密猟となります。
野生動物は、国民共有の財産であり、特定の個人が所有してよいもので
はありません。
こちらの掲示板でも過去野うさぎを連れて来てしまって飼育している方
の書き込みがありますが、うまく餌付いてくれて一月も飼育してしまっ
ているということであったので、「自然に帰せ」という意見は述べませ
んでしたが、今回のえりさんのように給餌について相談されるレベルで
あれば、これは、もう各県に存在する野生動物センターあるいは鳥獣セ
ンターに保護をお願いするべきだと思います。

「責任をもつ」とおっしゃっても、どう責任がとれますか?  残念な
がら取り用がないのではと考えます。
野生の命に責任を持つということは、誰にでもできることではありませ
ん。すでに、他の方の意見としても保護団体への連絡を勧める意見が出
ております。
おそらく、その意見が敢て無視されているようなので、気が付いた先生
が私に意見を述べたということなのだと思います。
# あるいは、その先生のところへも野うさぎの赤ちゃんが持ち込まれ
  ているとか…。

えりさんは、まだまだお若い方のようですから、このような意見は聞き
たくないと感じられるかもしれませんが、社会というのは、一定のルー
ルで成り立っています。
守るべきルールは守ろうではありませんか。野うさぎのことが気になる
のであれば、保護収容先の施設にボランティアでお手伝いに行って、野
生鳥獣のレスキューに関わる技術を見聞きして勉強されるというのも良
いと思います。
一時の感情を優先するのよりも、これを契機に将来、たくさんの野生鳥
獣を救う道へ進む事もできるのではないかと考えるのです。

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