獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-200612-37

ペレット
投稿日 2006年12月13日(水)00時42分 投稿者 チーママ

これはあくまでも「どうやらそうらしい」といわれている事で、
学術的に研究発表があったわけではないという事。
すべてのウサギさんに当てはまるわけではないという事。
以上を原則にしたお話ですが。

もともとペレットは経済動物(毛皮や肉をとる目的)や実験動物としての
ウサギのより手軽な健康管理と早く大きくするためのものでした。
ですから数年生きる事を前提として、成長後や老後を考えたものでは
なかったのです。
それがペットが増えてくるにつれて、ウサギの健康維持を考えたものに
変わりつつあります。それが高粗繊維です。粗繊維は腸の動きを活発
にするのに必須アイテムなのです。活発な胃腸の動きは良い発酵を促し、
毛の排出を促すわけです。
一時期「柔らかいペレットだから歯がけずれない。不正咬合を防ぐには
硬いペレットが良い」といわれた事がありました。
ところがペレットは繊維質は豊富でも製造過程で繊維が短くなっている
ものですから、すりつぶすのではなく噛み潰して食べる事になるわけです。

もともとウサギは植物を食べています。植物(主に葉)は木の実のように
硬いものはありません。ウサギの歯は葉のような長い繊維をすりつぶす為
のもので、硬いものを噛み潰すようには出来ていません。
その歯で硬いペレットを食べ続けると、歯根(ウサギの歯は人間や犬猫の
ように歯根が閉じていません。開放状態なので、伸び続けるのです)に
過度の力がかかり、伸びようとする歯を奥に押し込む形となり、涙腺詰まり
や歯根膿瘍になったりしやすくなったのです。
そこで少なくともウサギをよく診る獣医さんでは、「硬いペレットを」と
いう方はいなくなりました。
ウサギの歯が削れるのは「硬いものを噛むから」ではなく「物をすりつぶす
横の動きがあるから」という事なのです。
という事で、ペレットの繊維質はお腹のためであって、歯の為にあるのでは
ないと思います。

では歯をどうやって磨耗させたら良いのか。
一番は牧草。長い繊維を碾き臼のように歯を左右横に動かして食べるからです。
次は野草。でも野草をそうそう手に入れることは出来ません。栄養価も偏ります。
というので、次に出てくるのが野菜です。野菜は水分が多く、大して栄養が
ないと言われる向きもありますが、もともと牧草だってただの草。栄養価が
高いとはいえません。牧草に比べれば、野菜はカロリーが高い。
ですから野菜を与える時は、カロリーに注意しなくてはなりません。
ちなみに、ペレットと同じカロリーを野菜で取ろうとすれば、かなり
の量を食べることになります。当然食物繊維は野菜の方が長い。
牧草にはかなわないけれど、ペレットより沢山すりつぶす動きが必要。
というわけです。

野菜であげてはいけないものは、ねぎ類、にんにく類。これはどの動物
も同じです。
キャベツなどアブラナ科は与え続けると、甲状腺障害を起こしやすくなる
といわれています。
レタスはリコピンという鎮静作用物質があるので、多く与えないようにと
言われています。物の本によっては、レタスは水分が多いからと書かれて
いることがありますが、試しに栄養成分表で調べてみてください。
ほとんどの葉物野菜は同じような水分量です。

というわけで、長い食物繊維を利用したいなら、ペレットより野菜だと
思っている私です。

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