獣医師広報板ニュース

モモンガ掲示板過去発言No.1600-199804-3

RE:桜の木
投稿日 1998年4月1日(水)14時24分 とも

こんにちは、ともです。
サクラについてちょっと調べてみたのでお知らせします。

サクラの樹皮(桜皮)にはサクラニンやタンニンが含まれています。
サクラニンやタンニンは強い殺菌力と消炎作用をもつため、そのエキスは湿疹などの皮膚患部の洗浄に使われているそうです。
また、だ液中のタンパク質と結合して被膜を作り、粘液の分泌を抑えるため、咳止めやタン止めや消炎剤としても利用されているそうです。

タンニンは、そのまま消化管に入ると、食物中のタンパク質の消化を阻害したり胃を刺激したりする副作用を持つそうですが、タンパク質と結合するとその副作用は緩和されるそうです。
人の場合は、だ液中にタンニンと結合するタンパク質があるのでタンニンを含む食物(お茶、赤ワインなど)を摂取しても平気で、むしろ薬になりますが、動物の場合は必ずしもそうではないようです。

ラットの場合は本来タンニンと結合するタンパク質を持ちませんが、タンニンを食べるとだ液中にタンパク質を誘導する能力を持っているそうです。
ハムスターはタンニンと結合するタンパク質を持たず、またラットのような能力も持たないのでタンニンを食べ続けると死んでしまうそうです。
タンニンが毒となるか薬となるかは動物がタンニンと結合するタンパク質を持つかどうかによるようです。
一般に草食動物は持っているようですので、多分うさぎは大丈夫だと思います。
モモンガはどうか分かりませんが、齧っていて問題がなかったのなら大丈夫だと思います。(^^;)

また、桜の葉には、クマリン配糖体が含まれ、加水分解を受けて糖がはずれると芳香のあるクマリン(桜餅の匂い)になり、防腐効果をあげるのだそうです。
クマリンは、殺鼠剤などに利用されている毒物ですが、サクラの葉に含まれている程度では人にとっては体をこわすほどではなく、悪いバクテリアを殺すのでむしろ薬になるということです。
野生のシカなども、サクラの葉を食べますが、小さい動物が大量に食べるのは危険と思いますので、あげるのは避けたほうがいいかもしれません。
花もあげるのも避けたほうがいいと思います。

また、サクランボウは、種の中にアミグダリン(青酸配糖体)を含有しており、ある程度以上摂取すれば胃腸障害、呼吸困難、心臓麻痺を起こすそうなので、あげないほうがいいと思います。

と、いうことでした。動物の場合は、何が毒で何が薬かだいたい心得ており、危なそうなものは自分から避けたり、食べる量を加減したりすると思うので、桜の木を齧っているということは大丈夫ということなんだろうと思います。
でも、もし、気になるようでしたら別の木に変えてあげてもいいと思いますよ。

では、また。

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