獣医師広報板ニュース

モモンガ掲示板過去発言No.1600-200005-2

さいばばさんへ
投稿日 2000年3月4日(土)02時22分 GREEN

はい今晩は〜GREENです(^-^)/
お返事が遅れてしまい、申し訳有りませんでした。
さて、それでは本題です。

なかなか興味深い生活環境なんですね。
多種間との干渉しあう環境は望ましいかどうかは
自分には解らないのでおいておきますが、
自然界にいるがごとくのOn your ownは
管理下飼育下にある生き物にも発生してもいいかもしれませんね。

本来自然界では、ハムは土中や地表で暮らす生き物なので、
そうそう高いところに上る必要はないと思うですが、
飼育下だと安全であり、かつ自然に比べ物が単純な構造なためか
様々なものに適応しやすくなりますし、
それゆえいろんなところに目を向ける余裕が出てきますし、
自然界でもしなくてもいい様々な行動を見せてくれます。

しかし、自然界にはあり得ない危険なものも出てきますし、
危険な行為もしたりしますが、それらの原因となるものの多くは
人間が人為的に作り出したものですから、
本来備わっている危険と判断する今までの概念が当てはまらず、
不幸な事故を起こす引きがねとなります。

「作られた環境で自分の好きなように行動させてあげたい」
ということですので、このまま自由に行動させてあげたいのならば、
カラスよけにネットを張ったり、高いところから落ちた場合に備えて
落下予想地点にクッションとなるものを置いたり、
高すぎる場所にはネズミ返しなどを配置する、
などしてはいかがでしょうか?
それから、万一のことを考え、予想されうる危険をあらかじめ考えておき、
十分な対策を立て、事故の際にはすぐに診せられる
かかりつけの動物病院を探しておくことをお勧めします。

野生の昆虫を餌にすることですが、体調を一定のレベルで維持して、
下痢をさせず、かつ繁殖を考えたり幼獣を持ち込まない、
動物を触った後は必ず手を消毒、
人間に噛み付かせないという前提であれば、
余り人間(特に小児)の近くで飼わない限り
特に問題はないのではないかなと思います。
何故かと申しますと、やはり寄生虫を原因にしてのことなんです。
モモンガのような小動物の場合、経口摂取だと
多く聞くのが消化管に潜り込むタイプなんですね。
消化管寄生型はコクシジュウム、スピロヘータ、ランブル原虫などがあり、
腸管のに潜り込んだ後、そこで増殖して、
腸管の膜を破って出てきてわぁ〜って広がった後、
また腸管の中に潜り込んで増えていくんですね。
その際、腸管が傷つけられちゃうので便に出血が見られたり、
便が黒くなったりするかと思います。
で、こう言ったものは普段は免疫機構が働いていて、
その増殖は抑制され、生命を危機にさらすほどでは有りませんが、
下痢などしていったん調子を崩すと免疫機能が低下しますので、
そうなったら寄生虫の天下、どんどん増えていって
命の危険、そして死へと追い込んでいってくれることでしょう。
また、糞便から排出された寄生虫は風に乗って飛沫感染を起こし、
感染を広げることが十分に考えられます。
感染の対象ですが、種によっては人間にも当てはまり、
人畜共通感染症も引き起こしたりすることがありますから、
注意が必要かと思います。

さいばばさんのおっしゃるように、自然界ではそんなことに関係なく
野生の個体はいろんな虫を食べている事と思います。
事実、検便に出すと、多くの個体に寄生虫が見られます。
ですが、自然化では十分な運動をして、食べ物をバランスよく食べて
最適な環境にいる一番ベストな状態ということが前提となっています。
それゆえ、条件的に限定の多い飼育下ではベストな状態に持っていくことは
不可能だと思いますので、人工繁殖したミルワームやコオロギなどを与え、
なるべく野外採集した虫は与えないほうがいいと思います。

ごはんの無いようですけど、やっぱりペレットだけじゃ可哀想ですよね。
誰だって、いろんな美味しいもの食べたいですもんね。
だから、ペレットだけじゃなく、新鮮な果物類や野菜類、
種の類い、ご飯粒、ヨーグルト、
ペット用の煮干しやペット用のミルクなど
いろんなものをバランスよくあげていって下さいね♪
好き嫌いが生じても他の食べ物や栄養剤などで
有る程度の栄養の代替が出来るでしょうから。

お婿さん早く見つかるといいですね。
ではでは〜(^-^)/

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