鳥類掲示板過去発言No.1700-200202-37
ヘルニア |
投稿日 2002年2月16日(土)13時12分 プロキオン
腹壁の筋肉が裂けるということであれば、いわゆる「腹壁ヘルニア」のことを いっているのかな? ひと昔前の本には、確かに手術しても再発するだけなので、しない方が良いと いう記載が多かったと思います。 でも、多くの場合これはヘルニアではなく、腹腔内の臓器や脂肪の蓄積そして 卵管の腫大に起因する腹壁の過剰な伸展が本態といえます。 卵管が原因であれば、これの摘出と腹壁の形成で対応可能だと思います。卵管 がどの程度癒着しているかが判断の分かれ目になるのではないでしょうか? 本来のヘルニアと言う場合は、総排泄孔と尾羽との間に生じるもので、犬の会 陰ヘルニアに相当するものを指して言うと聞いています。 まだ若い個体のようですから、手術も選択枝の一つとして考慮しても良いので はないかと思います。 少なからず遭遇する疾病ですので、小鳥の専門医を自称する者はこのくらいの ことはできても良いように考えます。 ただ、本音を言わせていただければ、「経験がない手術なので初めての症例に なりますが…」と事前に説明すると、みなさん判で押したように手術を希望さ れません。 したがって、いつまでたっても技術が習得できません。いつか、誰かが思いき らなくてはならないことんなのですが。 私は決して今回のことで手術を勧めているのでもないし、プレッシャーをかけ ているわけでもありません。小鳥を診療してくれる病院がないと嘆くのに比較 して、医者を育てようという声が少ないなと感じているだけなのです。 家畜共済においては、新米の獣医師が赴任してくると牛は乳も減少しますし、 受胎率も落ちます。あまつさえ、人工受精した牛の妊娠鑑定による流産さえ頻 発します。酪農家のしてみれば、生活がかかっていることでこのありさまなの で本来であれば、恨み言を言いたくなるのが人情です。 でも、みなそれを口に出さずに自分の牛を新米獣医師に委ねます。獣医師を選 ぶことができない以上は、現場で臨床の経験を積ませるしかないからなのです。 農家と牛が獣医師を教育し、育てているのです。奥歯を噛み締めたその背中は 「早く一人前になれよ」と言っています。 これは、ある獣医師の執筆した本の中にかかれている挿話ですが、うそ偽りの ない本当の話です。 |
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