鳥類掲示板過去発言No.1700-200210-88
インコ×2 |
投稿日 2002年10月21日(月)02時41分 はたの
獣医師ではありませんがご参考まで。 ぐり様 つい最近、意見交換掲示板でも同様の話題が出ておりますが、小鳥の卵の人工孵卵・0日齢からの人工育雛は、「普通の」飼育者のレベルでは困難です。 >保温器で保温 これは孵卵器で、ということでしょうか。もと単純な保温のみですと、孵化しません。手動転卵をしていても可能性はあまり高くありません。かなり高性能な孵卵器で散々テストをして、卵重管理をしないと、そう高い確率では孵化までいたらないものなのです。 率直に申し上げて、17日目が来たら・・・は杞憂の可能性が高いと思います。 もし生長しているとしても、まともに孵化した雛でも、0日齢から育てるのは相当に大変でしょう。自分で殻を割れない雛ならなおさらです。不可能ではありませんが、超絶技巧になってきます。 我々、現代日本人感覚はマヒしてますが、本来、生れてくる子どもや卵がほとんど全部のように育つのが普通なわけではありません。たくさん死ぬもので、それを見越した数を産むようになっているものなんです。ペットを繁殖させるということは、かなりの数の幼い死を扱うと言うことです。 諦めるのが妥当と思います。 もしも深みにはまろうと思われるのなら、PRACTICAL INCUBATION という洋書がありますからまずはご一読を。小鳥となるとさらに、本になっていないノウハウが要るかと思います。一部の種では学習の仕組みの研究のために「取り替えっ子」実験をする関係上テクニックが開発されているようですので、カルフォルニア工科大や千葉大などの研究者や、小鳥に熱心に取り組んでいる動物園・大学(サンディエゴとかハワイ大とか)のひとの論文にあたられるなどをお勧めします。そういうレベルの技術なんです。「素人の飼育者」でもそこまで到達できないとは思いませんが、かなり大変と思います。 綾ちん♪ さま >「年に4回卵を産ますと、鳥は死んでしまう」 というのは雑な表現ですが、たしかに無駄に産ませるのはよくありません。 食物からのカルシウムの吸収が追い付かなくなって、骨そしょう症的になったりします。卵詰まりのリスクも増えます。 短期的には、かかりつけとご相談の上、カルシウムを増やす方法が考えられます。ただ、過剰が害になることもありますので慎重に。 長期的には、発情を阻害することになります。 いいかえると、発情にはいくつかの条件が揃って整うことが必要なので、そのどれかを成立せないようにするわけです。 長日条件をやめて短日条件とする(日暮れに寝かせる)、不必要な保温をしない(アンゴラやらナミビアやらが原産ですから、健康な個体なら0度C前後なら差し支えないはずです。理科年表でこのあたりの気温などお調べあれ。乾燥してますから夜は冷えます。ただし、湿っぽく寒いのにはご注意を)、餌を粗食に、ペア(メス同士やメスとヒトとの疑似〜もふくむ)をさせないようにする、巣箱・巣材を与えない、などです。 飼育の楽しみの一部は制限されますが、無精卵を産むリスクの軽減を有線するのなら、我慢するしかありません。 鳥にもある程度のストレスがかかりますが、上にあげたようなものは「自然な」ストレスですので、へんに擬人化して過度に甘やかすこともありません。 |
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