鳥類掲示板過去発言No.1700-200410-29
RE:野鳥の飼育について |
投稿日 2004年9月22日(水)11時26分 投稿者 プロキオン
9月16日の タカハシさんへ なかなかレスがないようなので、私から。こちらの掲示板は飼い鳥の話が 中心になるので、「野生と自然」の掲示板の方が適していたと思います。 あちらであれば、カラスにまつわる話題はいっぱい出ていましたので。 さて、本題。 簡単に言えば、「手順の問題」と「役所の所管の問題」ということになり ます。 野生鳥獣の捕獲とその飼育ということになると、これに関わるのは、「鳥 獣の保護及び狩猟に関する法律」という事になると思われます。 これは、野生鳥獣は原則として捕獲及び飼育を規制して、保護するものと しており、捕獲や飼育が許可される場合を規定しているということになり ます。 つまり、捕獲の許可は狩猟鳥獣や有害鳥獣駆除を念頭においているという ことになるように思います。学術研究目的も一応ありますが。 で、この捕獲申請にまつわる許可は、環境省の所管になり、窓口としては 市町村になるのではないでしょうか。 一方、飼育許可(飼養許可)は、県知事の所管(林務部)のはずです。 そして、この許可対象となるのは、 マヒワ、ウソ、ホオジロ、ヒバリ、メジロ、ヤマガラ、ウグイス というお馴染みの和鳥の名前が出てきます。飼育許可の目的と範囲もこれ から推定すれば、意図するところもわかりそうです。 ただし、カラス自体は、狩猟鳥に入っていますので、これら以外であって も飼育の許可はおりると聞いています。 さて、これで「役所の所管」は理解していただけたと思いますが、手続き についてですが、 県においては、「飼育許可」が欲しいのであれば、「捕獲許可証」を提示 してくれということになります。許可証が提示できなければ、密猟のカラ スということになりますので、密猟の鳥について、「飼育許可証」を発行 するわけにはいかないでしょう。 「捕獲許可証」についても、すでに1年経過しているのであれば、環境省 も追認してしまったら、「やった者勝ち」になってしまいますので、渋い 返事しか出しようがないはずです。窓口となる市町村も経由する林務事務 所もそれは当然分かっていますから、積極的に取り扱いたいとは考えませ ん。 また、昨今の情勢であれば、新規の申請によるカラスといえども、安易に 捕獲許可を出すわけにはいかないはずです。それ相当の必然的な理由が求 められます。 行政の立場からいけば、希少種ではない鳥であれば、所管の違いを越えて 調整し、許可を出すには異論があるのは不思議ではありません。 慢性疾病というのも個々の事情であって、過去に1年遡求してまで、違法 状態を是正する理由としては、足りません。 カラスはひじょうに人間に懐く鳥であって、「人付け」してしまった個体 は野生に戻らず、ずっと人間に依存してくらすようになる傾向があり、野 生復帰の難しい鳥です。そして、人間にまとわりつくことで周辺のとのト ラブルを引き起こしがちです。 飼育するのであれば、一生面倒を見てもらう必要があり、カラスが野鳥で あるからには、できるかぎり早く、人間との縁をきって野生復帰を果して 欲しいというのが、多くの鳥獣保護センターに働く人々の気持ちでしょう。 その中には、トラブルに巻こまれて駆除されるのよりは、自然の中での病 死の方がカラスには望ましいという気持ちもあるように思います。 1年前にカラスを保護した時点で、捕獲許可申請をし、疾病で野生復帰が 困難という理由で、その後に飼育許可申請をするという手順があったので あれば、事はスムースに運んだように思われます。 救済策はないのかということになれば、ないでしょう。関わる人一人ひと りに事情を訴えて理解していただくしかないでしょう。 それ以外は、「0」スタートの時点に戻って考えるしかないように思いま す。 |
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