獣医師広報板ニュース

鳥類掲示板過去発言No.1700-200509-38

ニワトリ!
投稿日 2005年8月12日(金)12時59分 投稿者 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

まずはエサ。成鶏用配合飼料の不断給餌、自由採食が基本となります。
野草・青菜・野菜類は、バラエティに富んでさえいれば残すほどに多くてもかまいません。少ない方が問題となります。
カルシウム源。まあカキ殻。単独で食べないのなら、配合飼料に数パーセント混ぜるとよいでしょう。
さらに忘れられがちですが、放し飼いでないなら砂・砂利が必要です。園芸/土木用の川砂が適当でしょう。

つまり、ばるばるさんの場合は栄養上の問題は少ないだろうと考えられます。みんみんさんの場合には、栄養上の問題が案じられます。従って趾瘤症それ自体に対処すればいいというものではなく、飼い方全般の見直しが必要と思います。

趾瘤症そのものの対策ですが、当然、獣医師にかかるのが正しい対応なのには間違いありません。けれどどうしても受診できない事情があるのなら、自家責任で素人療法をやらざるを得ませんね。その場合でもたとえば適切な薬の量などについては専門的な知識が必要です。誰かが教えてくれるのを待つのではなく積極的に問い合わせるなどして、遠隔的に指示をくれる獣医師を捜されるべきと思います。

しかしどうしても見つからないなら・・・
セフェム系/ニューキノロン系は悪い選択肢ではないでしょう。ことに後者は鳥に対しても割とよく使われるものだろうと思います。問題は量でして、成書で確認するのが一番です。あるいは英文ならネット上にも情報があるかもしれません。
迷う場合、ヒトの対する体重1キログラムあたりの量をまずは基準とし、鶏では代謝早いこと、脚は血の巡りが悪いこと、ことに塊の中には薬が届きにくいこと、半端に与えて耐性菌つくるのがもっともまずいことを勘案して、数倍の量としてみるのが良いかと。体重比だと成人の30分の1ぐらいになりますが、薬の量は数分の1〜10分の1ぐらい、ということです。
また、期間も数日ではなく、治るまで続ける必要があります。かといってあまり長期の連続投与は問題なので、2週間以上3週間以下といったところでしょうか。赤く腫れている段階なら3週間で治癒するのが普通だと思いますが、常にそうとはかぎりませんし、塊ができていたりすると数ヶ月かかることもあります。薬のローテーションが必要ですし、そうした時間的ゆとりがあれば、原因菌の感受性試験も望まれます。結局は、だれか獣医師を見つける必要に迫られるでしょう。

膿を出すのはあまりお勧めしません。とろりとした膿が出てスッキリし、治りが早くなることもなくはありませんが、ただ腫れているだけで突いても切っても血以外出てこない場合、また乾酪化していて、ごそっと剥がさなくてはならない場合も多いのです。ただ腫れているところに傷を付けるのは有害無益ですし、乾酪化したものの鈍性剥離は、獣医師であるプロキオンさんが予後を案じておられ、他方、ステージによっては積極的に勧められるケースもあるもので、つまりは経験ある獣医師にとっても難しい判断であり、処置そのもの、処置後の管理も微妙ですので、獣医師以外がイキナリ試みるのはお勧めしかねます。

まだしもお勧めできる素人療法としては、外用薬の塗布があります。全身に悪影響が及ぶ前ならば、ですけれど。
足裏を洗って清潔にしてから薬を塗ります。よく使われるのはDMSOと抗生物質、ステロイドを混ぜた乳液ですが、普通には入手できませんし、ひっくり返さないと塗りにくいという欠点もあります。代用品として、ヒトの口内炎用のケナログに抗生物質を混ぜたものが考えられます。この場合の抗生物質はヒト外用でもいいのですが、ケナログは水分保持力が強いですから、注射用液でも可能です。塗りやすく、よくひっついて使いやすいものです。
また、傷がない部分の多少の皮膚の荒れには、ヒルドイドソフトや、尿素配合のヒト用のクリームも使われることがあります。ばるばるさんの個体でしたらこうした対処ですむ可能性もあるかと思います。

キヨスクさんのニワトリについては、やはり獣医師の診察を受けることが必要であろうと思います。ニキビ様のぶつぶつ(翼膜かな)もさることながら、吐出、尻の汚れ、なども案じられるからです。お盆で混む時期になる前、「去年の3・4月頃」から今までの間にいくらでも機会はあったはずです。よほど短足のチャボでもない限り、お尻が汚れるのはおかしいのですから。

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