鳥類掲示板過去発言No.1700-200606-34
野生のブンチョウの換羽 |
投稿日 2006年5月24日(水)23時02分 投稿者 はたの
実見したことはありませんが、鳥の生態全般から。 換羽のスイッチを入れるホルモンは、繁殖期のホルモンが減少することをスイッチに出るようになります。ドミノ倒し方式になっています。 また、ストレスによって(直接的に換羽ホルモンが抑制されるのか、間接的に、換羽ホルモンを抑制するホルモンが出るのかは判りませんが)換羽は抑制され、遅くなります。飼育下でも平均すれば、手乗りブンチョウのほうが、非手のりブンチョウよりも派手に換羽するでしょう。言い換えると、常日頃から緊張して生きている野生のブンチョウはそれほど派手には換羽しないでしょう。 逃げる獲物を追いかける必要もなし、採食は不自由ないでしょうが、外敵に襲われる危険は増えます。しかし、換羽しなければいずれ羽が傷んで、やはり襲われる危険が増えますから、換羽しないわけにはいきません。 短期に集中して換羽して「高いリスクを短期間とるか」(ガンなどは野生であっても飛べないほど。どうせ育てている雛は飛べないし、外敵が少ないところまで移動してから繁殖することで対処していますね)、ずるずると少しずつ換羽して「少ないリスクを長期間とるか」(イヌワシなんかだと、途中繁殖期の中断を挟んで、2年で1セットの交換です)、の選択なわけです。さらにそこには、新しい羽を作るための余分な餌をどう確保するか、というのが絡むのですが。 小型の鳥類の場合、もともと、長く細く生きるのではなく、太く短く生きる傾向にあります。どうせ2、3年以内に何かに食われるのだから(すごく雑にいうと、野生の小鳥は、独り立ちできるまで7割、成鳥になってからも毎年半分ずつ死亡します)、急いで、たくさん雛を残そう、なわけです。また、代謝が早いので、羽の材料の確保も比較的容易です。 こうしたことから、飼育下にある時ほど極端ではなくても、また、野生では飛べなくなるほど極端ではないとしても、どちらかといえば「高いリスクを短期間とる」方針である、といえましょう。
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