獣医師広報板ニュース

鳥類掲示板過去発言No.1700-200606-40

ええと
投稿日 2006年5月26日(金)20時41分 投稿者 はたの

>これは、逆に考えると、甲状腺異常のある個体だと、
>そのような病的な症状が出る可能性があるということでもありますね。

 ないとは断言できませんが、常に懸念しておくべきほど頻度が高いかどうか・・・
 私も内分泌はあまり得手ではないので話半分に聞いていただきたいのですが、第一に、ホルモンの影響は、(比較的よく調べられている)哺乳類と鳥類では大きく異なり、哺乳類の常識は鳥類に通用しないということがあります。たとえば、強制換羽を惹起させるための乾燥甲状腺ですが、1g/1kgあたりが「実験」のスタートとしてよく使われています。乾いた粉というのはかさばるので、ちょっとぎょっとする量です。製剤でも、ヒト用のものをイヌに使う際にはどうやって薄めるかか手間になりますが、キログラム前後の鳥ですと、ヒト一人用前後でよかったりします。むろん、同じ甲状腺ホルモンといっても「どこまで分子構造が同じか」の問題もあるので余計に一筋縄ではいきませんが、いずれにせよ、哺乳類の常識が通用しないというのは共通しているかと思います。
 なので、鳥における異常な甲状腺の機能昂進が果たして異常な換羽につながるものかどうかは、なんとも・・・

>小鳥に、カラつきえさと、青菜と、塩土やイカ甲、以外のえさが必要なのですか?

 小鳥といってもいろいろですね。ある種においても、季節ごと、成長ステージごとに食性は変化します。
 さらに、飼育下ですと、運動量が少ないことからカロリー過剰が問題になりやすいため、本来の食性をアレンジしたものが「普通」とされています。

 どこまで勉強して、精密にやろうとするか、でしょう。
 からつき餌といっても、配合によって中身はさまざまです。本来なら、鳥の種類や季節、状態、体調を見ながら、自分で配合するものなのです。町の小鳥屋さんが減ってきている昨今では単味のものを量り売りで飼うのが難しく、かといって大袋で各種揃えるとカビや虫でダメにしがち(カビも虫も付かないのはそれはそれで怖い)で困難はあるのですが、単味でヒエだけ確保して、単なる小鳥用、セキセイ用、カナリア用、などとうまく配合する、必要に応じてエゴマやら麻の実やら、あるいは鮒粉なりハヤ粉なり、あるいは3/5/7分のすり餌粉末なりを加えて、「自分で考えて餌をデザインする」ことは、ホームセンター頼りでだって可能なのです。

※鮒粉とは、小鮒を(焼き)干ししてから粉に挽いたもので、日本の伝統的な小鳥の餌であるすり餌において、動物質として使わう粉末状の飼料素材です。
すり餌というのは、植物質の粉と動物質の粉、若干の生の菜っ葉をすり混ぜた餌で、植物質10に対して動物質がいくらか(10:3、10:5、10:7、10:10の各段階が基本)によって、3分、5分・・・と分けられますが、同じ個体に対してでさえ、季節や体調によって使い分けるのが当然とされてきました。
 そこまでが基礎で、さらに、動物質として、フナの粉かハヤの粉か、エビはどうよ、とかの議論があり、高じれば、自分で魚捕りして干して・・・までに至ります。植物質のほうも、ぬか、玄米粉、きな粉、麦粉etcを工夫するわけです。さらにいわば味付けやトッピングとしてピーナツ粉とか、生きた虫とか、蜂蜜とか、クマザサエキスとか・・・。むろん、青菜として何がよいかも悩む対象ですし、相手によって擂り鉢で何回摺るか(ウグイスなら100回、メジロなら1000回、ミソサザイなら多ければおおいほど・・・などと言われていました)も問題になります。
 要するに、出来合いの餌をそのまんま、ではうまく飼えない、というのが日本の飼鳥の根本理念なのです。撒き餌の配合を工夫するのも同じ理念に基づいていますし、欧米で開発されたペレット/パウダーフード(いろんな配合がありますね?)にも少なからず影響を与えているはずです。パウダーフードなんかまんますり餌ですものね・・・

 そうした背景の中で、ブンチョウならば、
・野生では、季節によって穀物主食だったり、昆虫を相当食べたりするが、
・飼育下では運動量制限からして、ふだんは穀物主体で良いが、
・育雛時や換羽期には少量の(腎臓に支障ない程度の)動物性タンパクもよいだろう、
・その動物性タンパク源として、鶏卵の卵黄のみならずフナ粉もなかなか・・・
 
 というような話です。
 これがもしドバトなら、動物性タンパクは要注意、ってことになります。野生でも昆虫は食べないわけですし、仮に一応食べるからといって魚粉まぶしの穀物であるニワトリ用の配合飼料を与えていたら、長生きは期待できません。
 逆に、ウグイスやメジロ、ソウシチョウといったような小鳥だと、からつきの餌では一週間も飼えませんね。
 つまり問題は、「小鳥の餌」「日常的に」ではなく、「コザクラインコの餌」「セキセイインコの餌」であり、かつ、「季節・状態・体調によってどうアレンジしていくか」です。

 「コザクラインコ 学名」で検索すれば、学名が判ります(「小桜鸚哥」だと難しいかもしれません。動植物の和名はカタカナで書くものと決まっています。ちなみに学名はアルファベットで書きます。カタカナ書きのものはすでに学名ではありません)。
 その学名で、あるいはその学名+wild food なんかで検索すれば、野生での食性がわかるはずです。
 野生で食べている餌そのものの組成は調べにくいでしょうが、食品成分分析表片手に、虫とあるならイナゴなりザザムシなりを、液果とあれば果物を参考に、とやれば、まあだいたいはokです。
 
 とはいっても、コザクラとセキセイなら、「特に必要な状態でないかぎり」からつき餌+サプリ兼用(気休め程度)のパウダーフードで「日常的には」いいでしょう。
※同じインコでもロリキートはまったく別の話ですが。

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