爬虫類・両棲類・カメ掲示板過去発言No.2000-200009-21
気持ちと結果責任 |
投稿日 2000年9月14日(木)15時32分 はたの
自家の個体を愛する気持ち、死なれたり、逃げられたりしたら自らを責め、悔やみ、悲しむ「気持ち」が大切ではない、とは思いません。私も、カメに逃げられて必死に探したことがあるので、やりきれなさはわかります。 が、一方に、冷厳な、ひとの気持ちと関係ない事実もあります。帰化は日本の自然のためにまずいとか、カメ飼育者の利己的な得失からいっても得ではないとか。「気持ち」でこちらをカバーすることはできないのですね。 「ミドリガメ」の帰化でいうなら、時期的なこと、飼育者層を考えても原因はマニアではなく、普通の飼い主でしょう。「カメちゃん大きくなっておウチの水槽ではせまくてかわいそうたから、何々公園の池に放してあげよう、お友達もいるし」といった「やさしい気持ち」そのものはよいものですが、結果は良くない、ってことがあるわけです。私も、昔、これに類したことをしましたし、旅先で獲ってきたカエルやトカゲをちゃんと飼えきれないからと地元に放し、遺伝的撹乱に荷担したことがあります。やさしい気持ちからでしたし、獲ってきたものを飼いかたが下手で殺してはいけない、放すべきだと信じていたわけです。が、結果としては、無知から「悪」をなしてしまったわけです。 「やさしい気持ち」が自然と向き合う根本のひとつであることは同感です。が、それだけでは足りないのも確かでしょう。 Chiaki様を責める意図はありません。 が、Chiaki様も私も含めて飼育者はみな、動物の成長や運動能力を甘くみて逃げられるなどといったミスを犯しがちなものです。「気持ち」は個々人のものですから、余人には伺い知れず、安易な慰めは時にかえって無礼にあたることがあります。情報を共有するのは難しいし、そこでのメリツトも多くありません。 一方、ミスの要因や改善策、「なぜそれがミスなのか」といった「個人の気持ちと関係無い冷たく厳しい情報」は、こちらをみるだけのかたにとっても意味が大きいでしょう。似たようなミス、事故の減少につながる期待がありますから。 「気持ち」は「気持ち」として尊重します。が、それに偏りすぎるのはバランスが悪いとも感じます。この掲示板に出入りしている者が誰ひとりとして帰化リスクを指摘しないのはやはりマズイ、でしょうから。 |
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