獣医師広報板ニュース

爬虫類・両棲類・カメ掲示板過去発言No.2000-200402-58

亀の駆虫
投稿日 2004年2月22日(日)12時30分 プロキオン

こちらの掲示板では教わる一方なので、たまには…。

亀だけでなく爬虫類の駆虫は、あまり簡単に考えない方がよいと私も思いま
す。

寄生虫自身も様々な種類がありますが、線虫の多くに非常に有効な薬品で哺
乳類において頻繁に使用される薬品は亀には毒性が強く禁忌とされています。
理由は腎臓に対する毒性があるからなのですが、亀を始めとする爬虫類には
哺乳類にはない腎門脈が存在し、哺乳類以上に腎臓に対する作用が強く現れ
るのです。

また、もうひとつ大事なポイントがあって、「体温」なんです。

例えば、抗生物質なんかにおいても、6時間、8時間置きの服用が人間では
一般的だと思いますが、爬虫類では体温が低かったりすると、これが1週間
も代謝・不活化されずに、中毒状態になってしまう可能性があるのです。
同一の薬を用いても、その時の環境やコンディションによって、投与した薬
品が投与目的に反して、有害な結果を招くことになりかねないのです。これ
は何も特別な薬品でなくても、脂溶性ビタミンなんかについても言えること
です。

寄生虫が線虫であろうが、条虫であろうが、ダニであろうが、駆虫薬という
薬品はなんらかの生命体を殺すことを目的としています。亀のコンディショ
ンや飼育環境を考慮しないでの投与ということがあってはならないのです。
ですから、駆虫薬の通販という行為は、いかにも無責任なことと言わざるを
得ません。
実際に私のところへも、「診療はいらないから、駆虫薬だけくれればよい」
という電話がかかってきたこともありますが、私は薬屋さんでもないし、誰
がどう使用するのかも分からない情況では、薬だけ渡せるものでもありませ
ん。
亀の診療をしていない獣医師を見下してもの申すわりには、あんた自身が亀
という生き物を分かっていないんじゃあないというところなんです。まあ、
私も口にはだしませんでしたが。

話が横道へそれましたが、駆虫は実施して良いのですが、実施については犬
や猫と同じ感覚では困ります。慎重さと投与後の観察がとても大切なのです。
私の友人のゴンベッサ先生は、ジーベンロックを飼育していますが、彼も亀
の診察できますとは、言っておりません。

亀を理解し、薬の作用と副作用を勉強することも大事だと思います。それが
亀のマエストロへの道ですね!


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