野生と自然掲示板過去発言No.4000-200208-38
ひらの様 |
投稿日 2002年7月15日(月)03時23分 はたの
私も専門家ではないので理解に不安はありますが、あえてざっくり言ってしまえば、まず、 「a 有利な形質は残りやすく、不利な形質は残りづらい」という原理(ダーウィン的、ドーキンス的)と、 「b 有利でも不利でない形質、ちょっとぐらいしか有利/不利ではない形質は偶然によって残ったり残らなかったりする」という原理がありまして、 abのどちらが主か従か、という論争があるわけなのです。質的な違いというより、程度問題、ケースバイケース、重みづけの問題、にすぎないように私には思えるんですが、別の現象と絡んで(a原理では進化は連続的と考えられ、b原理では、停滞と大変化が交互に訪れるとされ、a原理は小進化と、b原理は大進化と相性がいい)結構な論争になっております。ちなみに「新種」の誕生は小進化と大進化の中間あたりで一番微妙なところです・・・。 で、三日月湖を経由する川の流れの変化による地理的隔離という「偶然」が、ウアカリを3種に分けた、つまり3種のウアカリはb説のよい例ではあるまいか・・・という着眼点が述べられていたのかと。毛の色という形質は有利でも不利でもなく、よって周囲の環境への「適応」によって3タイプができたわけじゃなくって、偶然によるんだ、と。つまり「狭い意味での[進化]でなくても[新種]は誕生するんじゃないか」という。・・・このへんは「フィンチの嘴」早川書房、同文庫、あたりと通じるのですが。 ただ、出演の伊沢絋生さんは、aともbとも違う進化論を唱えた今西錦司の門下ですので、また別の視点をお持ちなのかもしれません(同意か反対かはともかく影響ナシとは思えないので)。 「サル学の現在」平凡社/文春文庫、ではa的な原理重視と読めますが、分量制限も有り得たでしょうし、その後考えを深められてもいましょうから。 進化論の本は山のように出ていますのでご興味あればどうぞ。粗雑にでも全体像を把握するためには個人の著書よりムック類のがいいかもしれません。 ネット上に書かれている情報は玉石いりまじっておりますし。 あるいは最終的には、礼節を踏まえて(進化論のベースぐらいは調べ、伊沢氏の著書・訳書は読み、かつお忙しさに配慮した上で)直接お尋ねになってもよろしいかと。 |
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