私は自分の接した野良犬たちの群れ様子を見ていて、率直に「誰か優しい人に
飼われてほしい」と感じます。確かに好きな場所で昼寝して、好きなところを
徘徊してます。夕方の涼しい時間に中型・大型犬の群れが走り回る姿を見ると、
狼の群れをも想像させ壮観です。今でも思い出す印象的なシーンでした。
でも、現実を見てみると群れの年齢は若く、フィラリアや交通事故で早死して
いることはすぐにわかりました。交通事故の古傷でゆがんだ脚をひきずってい
る犬、捨てられてパニックになり群れに溶け込めず、虐められて出血死した犬も
いました。3本足の犬と2年ほど関わったのですが、他の犬より餌にありつける
量が少なく、かつ人をかなり恐がるので捕獲して治療もできません。フリマを
開き手術費を貯め、獣医師さんに協力してもらい麻酔で捕獲したときはフィラ
リアの末期でした。彼は人の手の中で死にました。仔犬は年末の大掃除のゴミ
のようにたくさん捨てられます。まるで勝手に産まれた子犬は、新年には忘れ
たいように・・・仔犬は里親を見つけやすいので、ボランティアが保護します。
しかし、里親を見つける前に成長してしまった犬は、人にとても懐いていても
なかなか里親は見つかりません。中には成犬をつないだまま捨てる人もいます。
成犬は、自然繁殖を防ぐために、不妊･去勢手術をして元の場所に放します。
でも数ヶ月後には何らかの原因で姿を見せなくなる犬も多いのです。捨て犬の
場所は行政も把握しています。何らかのきっかけで大規模な捕獲の可能性もあ
ります(過去に保健所の捕獲で50匹以上が殺処分になりました)
野良犬の生活には二面あると思います。自由気ままに暮らしている面と、
事故や殺処分や飼い主がいれば防げる病気への不安におびえる面です。
自由気ままに暮らしている面を見れば、ろくに散歩されない犬よりも
いいと感じられる気持ちはわかります。世話をしはじめた当初の私もそう
感じていました。でも野良と呼ばれる犬も飼い犬と呼ばれる犬も人が好きで
人との関わりを切れない生き物だと思います。野良犬は野生動物ではないのですから。