獣医師広報板ニュース

動物の愛護掲示板過去発言No.6000-200108-1

避妊・去勢手術
投稿日 2001年8月1日(水)10時53分 ちゅん

私も、意味のない、無理に勧める避妊・去勢手術には
問題があると思っています。
しかし、勧める側にも理由はあります。

避妊・去勢を勧める立場として大きく2つに分かれると思います。

動物愛護活動をしていらっしゃる方は、特に
避妊・去勢手術を「必ず」といった感じで勧めます。
きっと、幸せなペットと暮らしていたり、普通に毎日を
すごしている方たちには想像できない事実を知っているのでしょう。
何故、そんなに手術を勧めるのか?
この方達は、「絶対外に出しません」 「責任もって産まれた子は
育てます」そういった人たちにことごとく裏切られ、
安易に、妊娠させ、責任が持てなくなった飼い主は、
川に流す、生き埋めにする、路上に捨て、干からびて死んでしまう、
犬に食べられてしまう(特に子猫)などなど・・・の
無責任な人間の仕打ちを受けてしまった子達を、嫌というほど
知っているからでしょう。
前に、殺処分のお話が出ていましたが、殺されるのは
野良犬・野良猫は少数です。ほとんどの子が
無責任な人間達が「飼えなくなった」「産まれて困った」
「噛み付くのでいらない」といっては自主的に持ち込んだ
動物達です。こういった子を救いながら、これ以上増やしては
いけないという強い気持ちで、避妊・去勢を勧めていると思います。


あと、医療方面から。
病院側で「無理やり」とういうのはありえない(?)と思うのですが
勧める理由としては、雌なら卵巣・子宮の病気、乳腺の病気など、
雄なら睾丸の病気、ホルモンによる病気などなど・・・を
未然に防ぐため勧めるのだと思います。
それでも、「病気を防ぐために痛い思いや危険な目にあわせるのは
変だ」という意見のよく聞きます。
でも、獣医師達は、この病気の怖さ、早期発見・外科治療以外の
完治の難しさを良く知っています。
それに必ず「産ませる予定がないのなら」が前提にあるはずです。
「症状が出てからでも・・」という意見も多いでしょう。
でも、そのために苦しんで、最悪には亡くなってしまう子達を
いっぱい見ているのです。
雄の犬のホルモンの病気で今まで何ともなかったのが
成犬になって急に、飼い主に噛み付く・凶暴になる病気があります。
そういった子で、飼い主も触れない、獣医もさわれない、
くさりを外して、人間を襲う恐怖で夜も眠れない・・などの
理由で、殺処分された子を知っています。
獣医師達も、そういった事実は何度も見ているはずです。
猫のマーキングなど手術で100%防げるとはいえないものも
ありますが、病院側での理由はこのような事で手術を勧める
のだと思います。

価値観もですが経験も大きなウエイトを占めていると思います。
しかし、責任ある行動を取っている方もいらっしゃるので
こういった事実はすぐには飲み込めないかもしれませんね。
私も、責任を背負って、外に出すつもりはないし、
産ませるつもりはないので、避妊手術は(猫)しない方向で
考えていましたが、病気(特に乳腺の腫瘍)のことを考えると
迷ってしまいます。ま、これも私の価値観と経験でのことですが。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

サポーター:日本ベェツ・グループ 三鷹獣医科グループ&新座獣医科グループ 小宮山典寛様のリンクバナー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。